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特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
自然瞳孔での眼球生体計測値による調節麻痺下等価球面屈折値の推測
著者: 加藤裕花1 成田真帆1 森隆史1 松野希望1 則川晃希1 笠井彩香1 新田美和12 齋藤章子1 橋本禎子13 石龍鉄樹1
所属機関: 1福島県立医科大学眼科学講座 2太田西ノ内病院眼科 3桜水さかい眼科
ページ範囲:P.923 - P.928
文献購入ページに移動対象と方法:対象は,1%アトロピン点眼液1日2回7日間による調節麻痺下屈折検査を行った器質的眼疾患を有さない3〜4歳児48例96眼である。調節麻痺の前後にIOLマスター® 700で眼球形態検査とTONOREF®ⅡでcSEの計測を行った。調節麻痺前のAL,ROC,ACD,LTの逆数を説明変数,cSEを目的変数とし,ステップワイズ重回帰分析を行った。また,解析から得られた推定式による等価球面屈折値の推測値(eSE)とcSEとの差を検討した。
結果:ステップワイズ法ではAL,ROC,ACDの3項目が採択された。AL,ROC,ACDでの推定式は,eSE=1200.50/AL−317.97/ROC−8.89/ACD−8.88(R2=0.93)であった。この式によるcSEとの誤差は0.5D未満55%,1.0D未満86%であった。比較のため,今回のデータセットを用いて既報に基づきAL,ROCに月齢(M)を加えた推定式を作成し,式はeSE=1147.42/AL−303.33/ROC−34.03/M−10.35(R2=0.92)となった。誤差は0.5D未満48%,1.0D未満85%であり,今回作成した推測式でより精度が高いと考えられた。
結論:自然瞳孔でのALとROCに加え,ACDをパラメータに加えることで,推定式の精度は向上した。
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