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特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
定期的な眼科診察によるTS-1®投与患者の涙道閉塞予防
著者: 中田愛1 澤明子1 田中万理1 増田有寿1 緒方真麻1 茶木俊光1 山内悠也1 長谷川麻里子1 廣瀬美央1 竹谷太1 宮崎千歌1
所属機関: 1兵庫県立尼崎総合医療センター眼科
ページ範囲:P.929 - P.933
文献購入ページに移動対象と方法:2021年5月〜2022年3月に,他科にTS-1®処方時の眼科紹介を依頼し当科初診となった50例99側を対象として,6週間ごとに経過観察を行い,涙道障害の特徴を検討した。
結果:経過観察期間中に全体の24.2%に涙道障害進行が認められ,16.2%が涙道内視鏡下チューブ挿入術適応となった。進行あり群となし群を比較したところ,性別,年齢,角膜障害出現の有無,初診時シルマー値,初診時涙液メニスカス高に有意差は認められなかったが,初診時に通水時逆流や涙点障害を認めたものは,その後有意に進行が認められた。進行ありと判断した際,涙液メニスカス高は初診時より有意に高くなっていたが,流涙症状が出現したのは全体の半数のみであった。
結論:TS-1®投与患者は,流涙症状などの自覚症状がなくとも眼科を定期受診することが望まれる。
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