文献詳細
特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[6]
原著
文献概要
要約 目的:松江赤十字病院(当院)眼科における感染性角膜炎の動向を報告する。
対象:2011年1月〜2021年12月の11年間に当院で加療したウイルス性角膜炎を除外した感染性角膜炎患者106例107眼で平均年齢57.9±24.1歳。
結果:全106例中56例(52.8%)で起炎菌が検出され,分離菌全73株のうちグラム陽性球菌39.3%,グラム陰性桿菌21.4%,真菌3.6%,その他35.7%であった。年齢分布は20〜30代と70代にピークを認める2峰性であったが70代のピークが高かった。20代のコンタクトレンズ使用率が92.3%と高率であった。患者背景としては,糖尿病23例,外傷16例が多かった。治療薬はニューキノロン系と第三世代セフェム系の点眼薬,カルバペネム系の点滴を多く使用していた。
結論:当院の感染性角膜炎は起炎菌としてはグラム陽性球菌が多く,またグラム陰性桿菌ではモラクセラ属が緑膿菌を上回り全身疾患を有する高齢の患者が多いことを反映していると思われた。
対象:2011年1月〜2021年12月の11年間に当院で加療したウイルス性角膜炎を除外した感染性角膜炎患者106例107眼で平均年齢57.9±24.1歳。
結果:全106例中56例(52.8%)で起炎菌が検出され,分離菌全73株のうちグラム陽性球菌39.3%,グラム陰性桿菌21.4%,真菌3.6%,その他35.7%であった。年齢分布は20〜30代と70代にピークを認める2峰性であったが70代のピークが高かった。20代のコンタクトレンズ使用率が92.3%と高率であった。患者背景としては,糖尿病23例,外傷16例が多かった。治療薬はニューキノロン系と第三世代セフェム系の点眼薬,カルバペネム系の点滴を多く使用していた。
結論:当院の感染性角膜炎は起炎菌としてはグラム陽性球菌が多く,またグラム陰性桿菌ではモラクセラ属が緑膿菌を上回り全身疾患を有する高齢の患者が多いことを反映していると思われた。
参考文献
1)感染性角膜炎全国サーベイランス・スタディグループ:感染性角膜炎全国サーベイランス—分離菌・患者背景・治療の現況—.日眼会誌110:961-972,2006
2)杉田 稔・門田 遊・岩田健作・他:感染性角膜炎の患者背景と起炎菌.臨眼64:225-229,2010
3)阿久根穂高・佛坂扶美・門田 遊・他:2012年から2年間の久留米大学眼科における感染性角膜炎の報告.あたらしい眼科37:220-222,2020
4)Das S, Rao AS, Sahu SK et al:Corynebacterium spp as causative agents of microbial keratitis. Br J Ophthalmol 100:939-943, 2016
5)Mian SI, Malta JBN:Moraxella keratitis:risk factors, presentation, and management. Acta Ophthalmol 89:e208-e209, 2011
6)Inoue H, Suzuki T, Inoue T et al:Clinical characteristics and bacteriological profile of Moraxella keratitis. Cornea 34:1105-1109, 2015
7)宇野敏彦・福田昌彦・大橋裕一・他:重症コンタクトレンズ関連角膜感染症全国調査.日眼会誌115:107-115,2011
8)柏木広哉:抗腫瘍薬と副作用.あたらしい眼科35:1315-1322,2018
9)Eguchi H, Kuwahara T, Miyamoto T et al:High-level fluoroquinolone resistance in ophthalmic clinical isolates belonging to the species Corynebacterium macginleyi. J Clin Microbiol 46:527-532, 2008
10)吉田真彰・横倉俊二・望月清文・他:大学病院へ紹介された感染性角膜炎疑い症例における全身投与抗菌薬の使用状況の調査.日眼会誌124:21-23,2020
11)濵田洋平:カルバペネム系薬.青木洋介(編):ちょっと待った! その抗菌薬はいりません.269-272,メジカルビュー社,東京,2018
12)紺野昌俊・野々口律子・後藤 朗・他:血液培養から検出される細菌の動向について.感染症誌58:99-112,1984
掲載誌情報