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特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著
囊胞様腔内フィブリノゲン塊摘出術が奏効した黄斑部毛細血管拡張症1型
著者: 髙田実乃梨1 永田竜朗1 古泉英貴2 近藤寛之1
所属機関: 1産業医科大学医学部眼科学教室 2琉球大学医学専攻眼科学
ページ範囲:P.1030 - P.1036
文献購入ページに移動症例:67歳,女性。左眼視力低下のためにX−2年5月産業医科大学病院を紹介され受診した。初診時の視力は右(1.2),左(0.15)であった。眼底は右眼には異常なく,左眼は硬性白斑を認め,フルオレセイン蛍光眼底造影は両眼とも黄斑部の毛細血管拡張と蛍光漏出を認め,左眼には毛細血管瘤があった。光干渉断層計では両眼とも網膜外層には萎縮所見はなく,左眼に囊胞様黄斑浮腫があった。光干渉血管断層撮影では両眼とも黄斑部の深層毛細血管の密度が著明に減少していた。以上より,両眼の黄斑部血管密度の減少を伴うMacTel 1型と診断した。左眼は黄斑浮腫が持続したため,抗VEGF薬硝子体内注射を5回行ったが,再発を繰り返し視力が(0.1)に低下したため,X年6月に硝子体手術を行った。内境界膜剝離に加え,黄斑部囊胞に対して27G注射針で囊胞摘出術を行った。
結果:術後約3年が経過し黄斑浮腫は消失し,左視力は(0.15)であった。
結論:囊胞摘出術は糖尿病黄斑浮腫や網膜静脈閉塞症による黄斑囊胞で有効とされているが,MacTel 1型でも有効である症例がある。
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