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特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著
Panton-Valentine leukocidin産生MRSAによる眼窩蜂窩織炎
著者: 多田羅祐介13 小木曽正博1 曽我部由香2 中野裕貴3 鈴間潔3
所属機関: 1四国こどもとおとなの医療センター眼科 2三豊総合病院眼科 3香川大学医学部眼科学講座
ページ範囲:P.1067 - P.1072
文献購入ページに移動症例:61歳,女性。右眼瞼腫脹,疼痛を主訴に香川大学医学部附属病院眼科へ紹介され受診した。初診時,右上眼瞼の高度の発赤腫脹,眼球結膜の充血と浮腫,眼球突出および眼球運動制限を認めた。また血液検査でC反応性蛋白および白血球の上昇,CTにて眼窩内炎症を疑う所見があり,眼窩蜂窩織炎として入院となった。眼脂培養にてPVLを産生するMRSAが検出されたため,抗MRSA薬およびカルバペネム系抗菌薬の点滴投与で加療したが反応は悪く,改善まで10日間を要した。
結論:PVLはMRSAが特徴的に産生する毒素で,白血球を特異的に障害し重症化しやすい。今回,PVL産生MRSAを起炎菌として健常者にもかかわらず重症化し,症状改善に時間を要した眼窩蜂窩織炎を経験した。難治な眼窩蜂窩織炎ではPVL産生菌の存在を念頭に置き,適切な抗菌薬の選択が必要である。
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