今月の表紙
水晶体亜脱臼
著者:
卯木伸介1
髙橋次郎1
稲谷大2
所属機関:
1獨協医科大学埼玉医療センター眼科
2福井大学
ページ範囲:P.1106 - P.1106
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症例は30歳,女性。近医にて両眼の円錐角膜による視力低下を指摘され,精査目的で当院へ紹介され受診となった。眼外傷やアトピー性皮膚炎の既往はなかった。初診時視力は右0.05(0.9×−8.0D()cyl−5.0D 60°),左0.1(1.0×−5.5D()cyl−3.50D 165°),眼圧は右13mmHg,左16mmHg。細隙灯顕微鏡検査で,両眼の軽度の円錐角膜に加え,右眼の8〜1時部の水晶体赤道部にチン小帯断裂と,これに伴う水晶体亜脱臼所見が認められた。眼底には網膜剝離はみられなかった。視機能の改善目的から外科的治療が考えられたが,患者本人が妊娠中であったこと,水晶体亜脱臼の進行がなく硝子体脱出もみられず,矯正視力も保たれていることなどから,しばらく経過観察になった。
今回の写真撮影には,トプコン社製スリットランプSL-D7にニコン社製デジタル一眼レフカメラD300を取り付けた装置を使用した。撮影は散瞳下で,倍率16倍,スリット長14mm,幅10mm,背景照明なしで行った。チン小帯付着部の水晶体赤道部付近にピントを合わせ,断裂したチン小帯部の状態を描写できるように,斜照明で耳側からスリット光を当て撮影した。