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特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著
瞳孔記録計が診断と治療効果の観察に有用であった抗MOG抗体陽性の小児視神経周囲炎の1例
著者: 名和賢斗1 平井宏昌1 西智1 萬代恵美1 榊原崇文2 緒方奈保子1
所属機関: 1奈良県立医科大学眼科学教室 2奈良県立医科大学小児科学教室
ページ範囲:P.1142 - P.1146
文献購入ページに移動症例:左眼の急激な暗黒感,視力低下を呈した8歳の女児。矯正視力は右1.2,左50cm手動弁で,左相対的瞳孔求心路障害(RAPD)陽性であった。中心フリッカ値(CFF)は右45Hz,左測定不能であった。検眼鏡的に眼底および視神経に明らかな異常所見はなかった。瞳孔記録計(RAPDx®)にて,左眼のRAPD amplitude scoreは5.12と高値を示した。頭部MRIでは脂肪抑制画像で左視神経周囲炎を示唆する左視神経周囲の高信号を認めたが,視神経に異常信号はなかった。T2強調画像にて右側頭葉白質,右後頭葉白質と脊髄中心管の灰白質に高信号を認めた。抗MOG抗体は血清・髄液ともに陽性であった。左視神経周囲炎,右側頭葉・後頭葉白質病変,脊髄病変を有する抗MOG抗体関連疾患と診断し,ステロイドパルス療法を施行した。
結果:第15病日には左矯正視力0.6,CFF 20Hz,RAPD amplitude score 0.42と視機能の改善を認めた。ステロイド内服を継続し,第115病日に左矯正視力1.5,CFF 50Hz,RAPD amplitude score 0.2まで改善した。
結論:小児の視神経周囲炎において,瞳孔記録計は診断だけでなく治療経過の指標にも有用であった。
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