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特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著
ブラッドパッチ治療によって改善した交通外傷後の調節麻痺の1例
著者: 土野圭1 禅野誠1 恩田秀寿1
所属機関: 1昭和大学病院眼科
ページ範囲:P.1178 - P.1183
文献購入ページに移動症例:14歳の女児が自転車で走行中に乗用車と衝突し,ボンネットに跳ね上げられ受傷した。頭部CTで異常を認めず経過観察となっていたが,受傷約1週間後から立体感の異常,ぼやけ,複視,頭頸部痛,めまい,聴覚異常,頭痛を自覚し,精査加療のため当院を紹介され受診となった。
所見:初診時,両眼矯正視力は右1.2,左1.2であり,前眼部・中間透光体・眼底に明らかな異常は認められなかった。アコモドメーターで調節緊張と調節力の低下を認めた。両眼単一注視野検査では上方視での複視を認めた。眼窩下壁骨折はCT画像上認めなかったものの,上方複視症状からwhite-eyed blowout fractureが疑われ,受傷54日目に右眼窩下壁骨折整復術を施行し複視は改善した。その後,脳脊髄液漏出症が判明し,受傷142日目にブラッドパッチ治療を実施した。ブラッドパッチ治療から1か月後の再診時には調節麻痺が改善し,不定愁訴も改善していた。
結論:交通外傷による眼外傷や頭部外傷後に複視や調節麻痺,その他の不定愁訴を訴えるものの原因がはっきりしない場合,脳脊髄液漏出症の可能性も念頭に置き精査する必要がある。
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