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特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著
緑内障に対する経強膜的マイクロパルス毛様体光凝固術(MP-TSCPC)の術後成績
著者: 楠田将一朗1 平井鮎奈1 權守真奈1 沼尾舞1 石塚匡彦1 忍田栄紀1 町田繁樹1
所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター眼科
ページ範囲:P.1197 - P.1202
文献購入ページに移動対象と方法:対象はMP-TSCPCを施行し術後6か月以上経過観察ができた45例50眼(67.5±13.4歳)で,原因疾患は原発開放隅角緑内障(38眼),落屑緑内障(5眼),血管新生緑内障(3眼),続発緑内障(3眼)および高眼圧症(1眼)であった。術前後の眼圧,視力,点眼・内服スコアならびに合併症についてレトロスペクティブに調査した。
結果:20眼(40%)では術後6か月以内に眼圧コントロール不良のため追加手術を施行し(追加群),30眼(60%)では追加手術を行わなかった(非追加群)。非追加群の術前,術後1週,1,3および6か月の眼圧は,それぞれ20.3±4.3,13.4±4.6,15.5±4.6,16.9±4.1および18.2±6.0mmHgであり,術前に比較して術後1か月および3か月で眼圧が有意に低下した(p<0.05)。視力,点眼・内服スコアは術後に変化しなかった。追加群では非追加群に比較して術前眼圧が高く(p<0.0005),緑内障手術の既往が多かった(p<0.005)。術後合併症として,瞳孔の軽度散大を41眼(82%)に認めたが,術後6か月でほぼ消失した。
結論:MP-TSCPCによって約半数の症例で眼圧下降が得られた。しかし,その眼圧下降効果は短期間であった。術前の眼圧と緑内障手術歴は適応症例を選択するうえで,重要な基準となる可能性がある。
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