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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科77巻9号

2023年09月発行

文献概要

特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著

緑内障に対する経強膜的マイクロパルス毛様体光凝固術(MP-TSCPC)の術後成績

著者: 楠田将一朗1 平井鮎奈1 權守真奈1 沼尾舞1 石塚匡彦1 忍田栄紀1 町田繁樹1

所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター眼科

ページ範囲:P.1197 - P.1202

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要約 目的:経強膜的マイクロパルス毛様体光凝固術(MP-TSCPC)を緑内障患者に施行し,その術後成績を報告する。

対象と方法:対象はMP-TSCPCを施行し術後6か月以上経過観察ができた45例50眼(67.5±13.4歳)で,原因疾患は原発開放隅角緑内障(38眼),落屑緑内障(5眼),血管新生緑内障(3眼),続発緑内障(3眼)および高眼圧症(1眼)であった。術前後の眼圧,視力,点眼・内服スコアならびに合併症についてレトロスペクティブに調査した。

結果:20眼(40%)では術後6か月以内に眼圧コントロール不良のため追加手術を施行し(追加群),30眼(60%)では追加手術を行わなかった(非追加群)。非追加群の術前,術後1週,1,3および6か月の眼圧は,それぞれ20.3±4.3,13.4±4.6,15.5±4.6,16.9±4.1および18.2±6.0mmHgであり,術前に比較して術後1か月および3か月で眼圧が有意に低下した(p<0.05)。視力,点眼・内服スコアは術後に変化しなかった。追加群では非追加群に比較して術前眼圧が高く(p<0.0005),緑内障手術の既往が多かった(p<0.005)。術後合併症として,瞳孔の軽度散大を41眼(82%)に認めたが,術後6か月でほぼ消失した。

結論:MP-TSCPCによって約半数の症例で眼圧下降が得られた。しかし,その眼圧下降効果は短期間であった。術前の眼圧と緑内障手術歴は適応症例を選択するうえで,重要な基準となる可能性がある。

参考文献

1)辻沢辰彦・庄司信行:毛様体光凝固術−マイクロパルス毛様体光凝固術のホントのところ.臨眼73:1546-1550,2019
2)日本緑内障学会緑内障ガイドライン改訂委員会:緑内障診療ガイドライン(第5版).日眼会誌126:85-177,2022
3)松尾将人・谷戸正樹:マイクロパルス毛様体レーザー.臨眼76:62-69,2022
4)Aquino MC, Barton K, Tan AM et al:Micropulse versus continuous wave transscleral diode cyclophotocoagulation in refractory glaucoma:a randomized exploratory study. Clin Exp Ophthalmol 43:40-46, 2015
5)Tan AM, Chockalingam M, Aquino MC et al:Micropulse transscleral diode laser cyclophotocoagulation in the treatment of refractory glaucoma. Clin Exp Ophthalmol 38:266-272, 2010
6)Chamard C, Bachouchi A, Daien V et al:Efficacy, Safety, and Retreatment Benefit of Micropulse Transscleral Cyclophotocoagulation in Glaucoma. J Glaucoma 30:781-788, 2021
7)In:Levin LA, Nilsson SF, Ver Hoeve JN et al:Adler's physiology of the eye(11th ed.). Elsevier, Amsterdam, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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