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特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著
白内障・硝子体手術同時施行例における術後屈折誤差の検討
著者: 友寄英士1 藤澤邦見1 恩田秀寿1
所属機関: 1昭和大学医学部眼科学講座
ページ範囲:P.1209 - P.1213
文献購入ページに移動対象と方法:2020年4月〜2021年3月の間に昭和大学病院附属東病院で行った,白内障・硝子体手術同時施行例のなかで,術後半年の矯正視力0.5以上ある症例を対象とする。症例の内訳は裂孔原性網膜剝離(RRD)55眼(黄斑非剝離31眼,黄斑剝離24眼),網膜前膜(ERM)47眼,硝子体出血(VH)23眼,黄斑円孔(MH)14眼の計139眼であった。術後1か月後の屈折誤差をレトロスペクティブに検討した。
結果:±0.5D未満の屈折誤差となった症例の割合は全体では54.6%,個別の疾患ではRRD50.9%,ERM68.0%,VH52.1%,MH35.7%であった。平均屈折誤差は全体では−0.48±0.68D,個別の疾患ではERM−0.30±0.60D,RRD−0.61±0.77D,VH−0.46±0.61D,MH−0.56±0.64Dであった。各群の精度,平均屈折誤差に有意差は認めなかった。RRDやMHといった液空気置換をする疾患としない疾患に分けた場合,液空気置換ありが82眼,なしが53眼であった。±0.5D未満の屈折誤差となった症例の割合は,ガスタンポナーデあり群が48.8%,なし群が64.9%であった。平均屈折誤差は,液空気置換あり群が−0.59±0.72D,なし群が−0.32±0.60Dであり,平均屈折誤差に関しては有意差を認めた。
結論:±0.5D未満の屈折誤差,平均屈折誤差で検討した場合,疾患ごとの比較で有意差を認めなかった。液空気置換の有無で検討した場合,液空気置換をした症例のほうがしなかった症例に比べて,有意に近視化した。
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