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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科77巻9号

2023年09月発行

文献概要

特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著

白内障・硝子体手術同時施行例における術後屈折誤差の検討

著者: 友寄英士1 藤澤邦見1 恩田秀寿1

所属機関: 1昭和大学医学部眼科学講座

ページ範囲:P.1209 - P.1213

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要約 目的:白内障・硝子体同時手術における屈折誤差を調査する。さまざまな眼底疾患を含めた調査を行い,眼底疾患別の屈折誤差の傾向を検討する。

対象と方法:2020年4月〜2021年3月の間に昭和大学病院附属東病院で行った,白内障・硝子体手術同時施行例のなかで,術後半年の矯正視力0.5以上ある症例を対象とする。症例の内訳は裂孔原性網膜剝離(RRD)55眼(黄斑非剝離31眼,黄斑剝離24眼),網膜前膜(ERM)47眼,硝子体出血(VH)23眼,黄斑円孔(MH)14眼の計139眼であった。術後1か月後の屈折誤差をレトロスペクティブに検討した。

結果:±0.5D未満の屈折誤差となった症例の割合は全体では54.6%,個別の疾患ではRRD50.9%,ERM68.0%,VH52.1%,MH35.7%であった。平均屈折誤差は全体では−0.48±0.68D,個別の疾患ではERM−0.30±0.60D,RRD−0.61±0.77D,VH−0.46±0.61D,MH−0.56±0.64Dであった。各群の精度,平均屈折誤差に有意差は認めなかった。RRDやMHといった液空気置換をする疾患としない疾患に分けた場合,液空気置換ありが82眼,なしが53眼であった。±0.5D未満の屈折誤差となった症例の割合は,ガスタンポナーデあり群が48.8%,なし群が64.9%であった。平均屈折誤差は,液空気置換あり群が−0.59±0.72D,なし群が−0.32±0.60Dであり,平均屈折誤差に関しては有意差を認めた。

結論:±0.5D未満の屈折誤差,平均屈折誤差で検討した場合,疾患ごとの比較で有意差を認めなかった。液空気置換の有無で検討した場合,液空気置換をした症例のほうがしなかった症例に比べて,有意に近視化した。

参考文献

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2)忍田栄紀・町田繁樹:黄斑部疾患に対する硝子体白内障同時手術での術後屈折誤差の検討.臨眼72:1175-1179,2018
3)佐藤陽彦・忍田栄紀・町田繁樹:裂孔原性網膜剝離に対する硝子体白内障同時手術での術後屈折誤差の検討.臨眼75:1253-1258,2021
4)熊谷和之・荻野誠周・出水誠二・他:眼内レンズ挿入眼に対する硝子体手術後の屈折値変化.日眼会誌104:567-571,2000
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6)宗田友美・江内田 寛・末廣久美子・他:硝子体・白内障同時手術における術後屈折誤差とその補正.臨眼66:1369-1373,2012
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8)Pak KY, Park KH, Park SW et al:Comparison between refractive outcomes between macula-on and macula-off retinal detachments after phaco-vitrectomy. Jpn J Ophthalmol 63:310-316, 2019
9)玉置明野・小島隆司・吉田則彦・他:黄斑上膜症例におけるIOLマスターと超音波Aモードによる眼軸長測定値の比較.視覚の科学29:132-136,2009
10)Shiraki N, Wakabayashi T, Sakaguchi H et al:Effect of Gas Tamponade on the Intraocular Lens Position and Refractive Error after Phacovitrectomy:A Swept-Source Anterior Segment OCT Analysis. Ophthalmology 127:511-515, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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