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特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著
運転外来における視野障害患者のドライビングシミュレータ事故と視線の動きの関連
著者: 深野佑佳1 國松志保1 平賀拓也1 岩坂笑満菜1 黒田有里1 桑名潤平2 椚順子2 伊藤誠2 溝田淳1 井上賢治3
所属機関: 1西葛西・井上眼科病院 2筑波大学システム情報系 3井上眼科病院
ページ範囲:P.1220 - P.1226
文献購入ページに移動対象と方法:運転外来を受診した165例(平均年齢60.9±14.6歳)に対し,運転調査(1週間あたりの運転時間,運転目的,過去5年間の事故歴の有無),視力検査,ハンフリー視野検査,認知機能検査,DSを施行した。DS時の視線の動きは,据え置き型眼球運動計測装置(Tobii Pro X3-120,Tobii Pro Nano)にて測定し,5分間の全走行中の指標の水平x/垂直y座標の標準偏差(視線水平/垂直SD)から「視線のばらつき」を求めた。視線解析の信頼性が50%以上であった146名(平均年齢60.6±14.2歳)を対象に,視線のばらつきを,四分位数を用いて,視線のばらつきが大きかった上位群37例とばらつきが少なかった下位群37例に分類し,両群を比較検討した。
結果:DS事故数は,視線のばらつきが大きい上位群は,0.8±1.0件と,下位群(3.0±2.6件)よりも有意に少なかった(p<0.0001)。また,下位群は,上位群と比較して,視野障害度に差はないものの,年齢が高く(p<0.0001),女性が多く(p=0.005),認知機能が低く(p=0.009),視力不良眼の視力が悪かった(p=0.019)。上位群は,「視線の動きを止めないようにしている」「危険を予測している」など,運転時に注意をしている症例が多かった。
結論:視野障害患者では,運転時の視線の動きが事故と関連しているかもしれず,安全運転指導にあたり留意すべきである。
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