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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科78巻10号

2024年10月発行

文献概要

特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著

白内障術後に発症した浸潤型副鼻腔真菌症による鼻性視神経症の1例

著者: 加藤大智1 横山康太1 禅野誠1 和田清花1 土野圭1 藤澤邦見1

所属機関: 1昭和大学横浜市北部病院眼科

ページ範囲:P.1246 - P.1251

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要約 目的:白内障術後の経過観察中であったため,浸潤型副鼻腔真菌症による鼻性視神経症と比較的早期に診断・加療され,視力予後良好であった1例を経験したため報告する。

症例:当科で右水晶体再建術を施行された89歳の男性。

所見:白内障術後7日より右視力低下を自覚し,術後9日の診察で右最高矯正視力(0.07)と術直後と比べ低下していた。細隙灯検査では明らかな異常所見はなく,動的視野検査で右中心〜上耳側視野障害,限界フリッカ値(CFF)の低下を認めた。画像検査では左副鼻腔炎,右の篩骨洞骨破壊所見を認めたため,耳鼻咽喉科にて副鼻腔手術を施行された。術中右視神経管の中枢側に骨融解様所見を認め,病理検査で左副鼻腔真菌塊様肉芽組織からAspergillus fumigatusが検出された。以上から左副鼻腔真菌症に伴う右浸潤型副鼻腔真菌症による鼻性視神経症と診断され,副鼻腔手術当日からアムホテリシンBで加療された。術後6か月までの経過観察で右視力は(1.2),視野,CFFも改善し,経過良好であった。

結論:浸潤型副鼻腔真菌症による鼻性視神経症により1〜2週間程度で急激な視機能障害をきたしたが,早期治療により良好な視機能改善を得ることができた症例を経験した。

参考文献

1)Deutsch PG, Whittaker J, Prasad S:Invasive and non-invasive fungal rhinosinusitis-a review and update of the evidence. Medicina(Kaunas) 55:319, 2019
2)吉川 衛:副鼻腔真菌症の診断と治療.日本耳鼻咽喉科学会会報118:629-635,2015
3)石神瑛亮・小林正佳・内田克典・他:視力低下出現から2週間経過後の治療で視力が回復した慢性浸潤型Onodi cell真菌症例.日本鼻科学会会誌61:277-283,2022
4)Luo YT, Zhu CR, He B et al:Diagnostic and therapeutic strategies of acute invasive fungal rhinosinusitis. Asian J Surg 46:58-65, 2023
5)Hosokawa Y, Omura K, Aoki S et al:Predictors of visual acuity and usefulness of a treatment algorithm in rhinogenous optic neuritis. Ear Nose Throat J 100:162-166, 2021
6)内藤圭介・岩﨑英隆・秋月裕則・他:視力障害をきたした副鼻腔疾患症例の検討.徳島赤十字病院医学雑誌20:35-40,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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