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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科78巻10号

2024年10月発行

文献概要

特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著

全身性濾胞性リンパ腫に関連した両側眼瞼結節性腫瘤

著者: 綾はるか1 佐々木香る1 石本敦子1 野田百合2 山本優一1 盛秀嗣1 髙橋寛二1

所属機関: 1関西医科大学眼科学講座 2関西医科大学病理学講座

ページ範囲:P.1265 - P.1271

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要約 目的:全身性濾胞性リンパ腫に関連して特異な眼瞼の結節性腫瘤を呈した1例を報告する。

症例:70歳,女性。全身の難治性結節性痒疹で皮膚科にてx−4年よりシクロスポリンA(CyA)内服投与の既往をもつ。x年に両上下眼瞼縁全幅に結節性腫瘤がみられ関西医科大学附属病院(当院)眼科に紹介された。病変部生検で限局的なCD20(+)bcl-2(−)の反応性リンパ球増殖と診断され,いったん当院皮膚科でのCyA内服再開とともにタクロリムス点眼を開始するも改善しなかった。x+1年に左耳前部および前額部に皮下硬結と腫瘤を認め,それぞれの病理生検において組織診断および染色体検査でいずれも濾胞性リンパ腫(grade 2)と診断された。当院血液腫瘍内科でリツキシマブ単独治療開始後,両上下眼瞼部腫瘤は2か月で著明に改善した。

結論:本症例でみられた結節性眼瞼縁腫瘤は,濾胞性リンパ腫に関連した腫瘍であった可能性がある。濾胞性リンパ腫は通常,結膜円蓋部や球結膜に好発するが,眼瞼縁にも関連した病変が生じる可能性が示唆される。

参考文献

1)董 陽子・加瀬 諭:眼付属器リンパ腫.日本臨牀79(増刊号):248-253,2021
2)日本血液学会(編):濾胞性リンパ腫.造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版(第3版).金原出版,東京,2023
3)安積 淳・平井宏二・田村 泰・他:結膜原発濾胞性リンパ腫の1例.日眼会誌106:420-425,2002
4)Takahira M, Okumura H, Minato H et al:Primary conjunctival follicular lymphoma treated with the anti-CD20 antibody rituximab and low-dose involved-field radiotherapy. Jpn J Ophthalmol 51:149-151, 2007
5)熊田雅子・熊田充起・堅田利彦・他:結膜病変より濾胞性リンパ腫の診断に至った1例.眼科55:837-842,2013
6)Tsujimoto Y, Cossman J, Jaffe E et al:Involvement of the bcl-2 genes in human follicular lymphoma. Science 228:1440-1443, 1985
.Modern Media 63:81-83,2017
8)後藤 浩:眼瞼・結膜腫瘍アトラス.63-65,126-131,医学書院,東京,2019
9)加瀬 諭:濾胞性結膜炎と結膜濾胞性リンパ腫の臨床病理学的相違.日本眼腫瘍学会誌10:21-25,2021
10)小幡博人・青木由紀・久保田俊介・他:眼瞼・結膜の良性腫瘍と悪性腫瘍の発生頻度.日眼会誌109:573-579,2005
11)一迫 玲:病理学—現行WHO分類の歴史的背景とそれに必要な総合診断システム.最新医学62(増刊):1317-1328,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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