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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科78巻10号

2024年10月発行

文献概要

特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著

眼瞼帯状疱疹にぶどう膜炎・髄膜炎を併発した1例

著者: 大坂萌乃1 木崎順一郎1 恩田秀寿1

所属機関: 1昭和大学医学部眼科学講座

ページ範囲:P.1279 - P.1284

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要約 目的:水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)による眼瞼炎に髄膜炎およびぶどう膜炎が続発した1例を経験したので報告する。

症例:55歳,女性。水痘・口唇ヘルペスの既往があり,関節リウマチの治療でメトトレキサートおよびウパダシチニブ内服中であった。右側頭部の鈍痛を自覚し,8日後に右上眼瞼の腫脹と右顔面・口腔内の痺れと感覚麻痺を生じた。増悪傾向のため10日目に昭和大学病院附属東病院眼科を紹介され受診した。初診時矯正視力は両眼1.2であった。右上眼瞼は腫脹・皮下出血を認めたが眼内に炎症所見はなかった。蜂窩織炎を疑い,同日からセファゾリン1g/日の投与を開始したが効果は乏しく,薬剤投与開始から3日目に髄液検査を施行したところ,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査でVZVが検出された。また,MRIでは右眼瞼,外直筋,涙腺,海綿静脈洞に造影効果を認め,これらの部位にVZVによる炎症が波及したと判断した。同日よりアシクロビル1,500mg/日の投与を開始し,自覚症状および右上眼瞼の腫脹は改善傾向にあったが,薬剤投与開始の2日後に硝子体混濁を伴う眼炎症所見を認め,前房水PCR検査においてVZV特異的DNAが検出された。抗炎症目的にプレドニゾロン内服30mg/日も併用し,初診時から18日で前房内炎症および硝子体混濁も消退した。

結論:今回,典型的な皮膚所見がなかったことが診断・治療の遅れの一因であった。早期に鑑別診断を行い,治療をすれば炎症が眼内に波及しなかった可能性がある。

参考文献

1)鈴木 潤・臼井嘉彦・坂井潤一・他:眼窩蜂巣炎様症状を併発した桐沢型ぶどう膜炎の1例.あたらしい眼科27:1307-1309,2010
2)藤井清美・中山智寛・猪原博之・他:眼窩蜂巣炎症状を伴った桐沢型ぶどう膜炎の1例.臨眼55:1211-1215,2001
3)Kennedy PG, Grinfeld E, Gow JW:Latent varicella-zoster virus is located predominantly in neurons in human trigeminal ganglia. Proc Natl Acad Sci U S A 95:4658-4662, 1998
4)Gerson AA, Breuer J, Cohen JI et al:Varicella zoster virus infection. Nat Rev Dis Primers 1:15016, 2015
5)Bustos DE, Toro JA, Briceño M et al:Detection of herpes simplex virus type 1 in human ciliary ganglia. Invest Ophthalmol Vis Sci 43:2244-2249, 2002
6)Schaftenaar E, Meenken C, Baarsma GS et al:Early-and late-stage ocular complications of herpes zoster ophthalmicus in rural South Africa. Trop Med Int Health 21:334-339, 2016
7)田坂佳名子・堀江千穂・狩野葉子・他:多彩な臨床像を呈した帯状疱疹.臨床皮膚科63:771-774,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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