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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科78巻10号

2024年10月発行

文献概要

特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著

日本医科大学多摩永山病院眼科における5年間の内眼炎患者の統計的観察

著者: 須賀亮太1 川原稔己1 白彩香1 田内睦大1 鈴木恵里1 西尾侑祐1 仲野裕一郎1 堀純子1

所属機関: 1日本医科大学多摩永山病院眼科

ページ範囲:P.1285 - P.1291

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要約 目的:日本医科大学多摩永山病院(以下,当院)の5年間の内眼炎患者の統計的観察および既報との比較。

対象と方法:2018年4月〜2023年3月に当院眼炎症外来を初診した内眼炎患者621例(男性248例,女性373例)を後方視的に診療録の観察研究を行った。

結果:初診時年齢は55.7±19.5歳。男性248例(39.9%),女性373例(60.1%)。強膜炎151例(24.3%),サルコイドーシス60例(9.7%),Vogt-小柳-原田病32例(5.2%),ヘルペス性角膜ぶどう膜炎32例(5.2%),ベーチェット病24例(3.9%),急性前部ぶどう膜炎22例(3.5%)の順に多く,31.2%は疾患カテゴリー分類不能であった。続発緑内障は238例(38.3%)で,そのうちステロイド緑内障は52例(21.8%)であった。生物学的製剤使用は43例(6.9%)で,そのうちアダリムマブ使用は27例(62.8%)であった。全国多施設眼炎症疾患統計(JJO 2021)と疾患頻度上位6疾患の内訳は一致していたが,本研究は強膜炎が最多であることが異なっていた。筆者らの既報(日眼会誌2015)と比べても,強膜炎が17.0%から24.3%に増え,続発緑内障の発生率も本研究が高かった。

結論:当院では他報告と比べて強膜炎が多く,続発緑内障の併発率も高かった。全体で生物学的製剤使用は7%弱であった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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