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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科78巻2号

2024年02月発行

文献概要

臨床報告

ORTe EYENACによりアプラクロニジン1%点眼試験での瞳孔の記録を行った後天性Horner症候群の1例

著者: 阪本知瞭1 西脇弘一1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院眼科

ページ範囲:P.251 - P.256

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要約 目的:ORTe EYENAC(以下,EYENAC)により,アプラクロニジン1%点眼試験での瞳孔変化の記録を行うことができた1例を経験したので報告する。

症例:87歳,女性。右視力低下にて天理よろづ相談所病院(当院)を受診し,初診時暗所での瞳孔不同(左>右)を認めた。初診時には明らかな眼底所見はなく,視力低下は白内障によるものと考えられた。再診時にアプラクロニジン点眼試験を施行し,その前後にEYENACにて瞳孔運動を記録した。

結果:EYENACにて瞳孔不同の逆転を認めた。一方,瞳孔運動に関してはアプラクロニジン点眼前後でも明らかな異常はなかった。アプラクロニジン点眼試験陽性と考え,頭頸部CTを撮影。右肺尖部に腫瘍性病変を認め,画像上神経鞘腫と考えられた。8年前に当院にて撮影されていたCTと比較しサイズの変化がないことから経過観察の方針とした。

結論:EYENACはHorner症候群におけるアプラクロニジン点眼試験前後の所見を記録し,定量的に評価することができ有用であった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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