文献詳細
特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[1]
原著
歯科医師における多焦点眼内レンズ挿入後の視機能
著者: 中村邦彦1 小原絵美1 太田友香1 南慶一郎1 ビッセン宮島弘子1 高野正行2 古澤成博2 四ツ谷護2
所属機関: 1東京歯科大学水道橋病院眼科 2東京歯科大学水道橋病院歯科
ページ範囲:P.311 - P.317
文献概要
対象と方法:当院にて両眼に白内障手術が施行された歯科医師にアンケートを送付して本研究に同意と回答の得られた症例を対象とした。調査内容は,歯科診療において,歯冠や歯の欠損を修復する補綴,歯を保存し機能させることを目的とする保存,齲歯や歯周病の治療を除く顎口腔領域の外科系処置をする口腔外科の3分野に分け,それぞれの分野で代表的な3項目,計9項目における見え方と,日常生活における遠方・中間・近方の見え方とした。それぞれの状況で眼鏡使用頻度を使用なし1・ときどき使用2・常用3,見え方を全く問題なし1・ときどき問題あり2・問題あり3にスコア化して検討した。
結果:該当する44例に郵送し34例(回答率77.3%)(多焦点IOL:17例,単焦点IOL:17例)から同意および回答が得られた。両群の遠方矯正視力に有意差はなく(マン・ホイットニーのU検定p=0.680),多焦点群の近方視力は裸眼0.96,遠方矯正下0.97で良好であった。診療の9項目中7項目で多焦点群の眼鏡依存度が低く有意に関連があり,見え方は有意差がなかった。日常生活は全距離で多焦点群の眼鏡依存度が低く有意に関連があり,近方視で単焦点群の見え方が良好で有意に関連があった(χ2検定p<0.05)。
結論:多焦点IOL挿入は歯科診療に支障なく,眼鏡依存度を低下させることが示唆された。
参考文献
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