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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科78巻3号

2024年03月発行

文献概要

特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著

ソフトコンタクトレンズにおける周辺部厚の位相差顕微鏡による計測

著者: 明尾潔12 明尾庸子12 明尾慶一郎2 大森美香2 飛田恵子2 加藤帝子2

所属機関: 1あけお眼科医院 2あけお眼科研究所

ページ範囲:P.372 - P.378

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要約 目的:ソフトコンタクトレンズ(SCL)の厚みについては中心厚の計測データが一般に添付文書に記載されている。しかしながら,周辺部の厚みも強度や装用感の観点から検討の必要がある。位相差顕微鏡は異なる屈折率をもつ物質を透過した際に生ずる位相差を応用した顕微鏡であり,透明な対象の観察のために一般に広く普及している。今回,SCLの周辺部を観察するため,位相差顕微鏡を用いて周辺部厚の計測を試みた。

対象と方法:径60mmのペトリ皿内の生理食塩液に周辺部が対物レンズ側になるようにSCLを浮かべ,対物レンズ10倍と2000万画素の顕微鏡カメラで周辺部が鮮明となるまで位相差顕微鏡により接写した。SCLには−3, −7.5, −12 diopterの1日,2週間用のSCL〔AQUALOX®(AQ):Bausch & Lomb, ACUVUE OASYS®(OA):Johnson & Johnson〕,ソフトウェアとして画像解析にはSigmaScan®,統計学的解析にはSigmaStat®を用いた。

結果:t検定,2元配置分散分析の結果,周辺部厚は度数,装用期間にかかわらずAQがOAより有意に薄く,2週間用OAでは多変量解析の結果,近視度数に従い,有意に薄くなる傾向があった。

結論:SCLの種類により周辺部厚にも相違があることが判明し,今後,装用感や耐久性についても検討を加える必要があると考えられた。

参考文献

1)和泉洋輝・格内 敏:温度によるソフトコンタクトレンズの変形挙動.精密工学会学術講演会講演論文集 2012A:477-478,2012
2)Zernike F:Phase contrast, a new method for the microscopic observation of transparent objects. Physica 9:686-698, 1942
3)明尾 潔・明尾庸子・加藤帝子:網膜色素変性の視機能に関する統計学的検討—ハンフリー下半視野と上半視野の比較.臨眼72:1379-1391,2018
4)明尾 潔・田中靖彦・植村恭夫・他:組織培養によるヒト網膜色素上皮細胞に関する研究—ヒト視細胞外節貪食時の走査および透過電子顕微鏡所見について—.日眼会誌90:188-196,1986
5)エビデント:その機能,使っていますか? 〜位相差観察編〜(https://www.olympus-lifescience.com/ja/support/learn/01/024/)(閲覧日:2024年1月9日)
6)住化分析センター:眼科材料(コンタクトレンズ,眼内レンズ等)/カラーコンタクトレンズの色素存在位置確認・エッジ形状確認(断面観察)(https://www.scas.co.jp/services/lifescience/medical-devices/analysis/contact-lenses.html)(閲覧日:2024年1月9日)
7)横山敏郎・中村義昭・宮本道子:超音波厚さ計の医療機器試験への応用—コンタクトレンズを中心として.東京都健康安全研究センター研究年報60:107-110,2009
8)小峯宏之・塩田寛子・稲葉涼太・他:コンタクトレンズ承認基準に基づくソフトコンタクトレンズ試験の留意点.東京都健康安全研究センター研究年報69:91-96,2018
9)格内 敏・栗山祐輔・和泉洋輝・他:ソフトコンタクトレンズ装用時の形状変化がレンズ度数に及ぼす影響.実験力学16:66-70,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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