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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科78巻4号

2024年04月発行

文献概要

特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著

Functional Vision Score中心暗点ルールの調整におけるAmerican Medical Associationクラスへの影響

著者: 鶴岡三惠子1 平塚義宗2 井上賢治1

所属機関: 1井上眼科病院 2順天堂大学眼科学教室

ページ範囲:P.452 - P.457

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要約 目的:American Medical Association(以下,AMA)では,Functional Vision Score(以下,FVS)で視機能障害をAMAクラス分類する際に,FVSの追加ルールである中心暗点ルールで視力と視野障害の重複を避ける補正を行っている。この補正の程度を調査した。

対象と方法:2019年1月から4年間に井上眼科病院で視覚の身体障害者手帳申請を希望した137症例を対象とした。診療録より性別,年齢,原因疾患,および視野を後ろ向きに調査した。中心暗点ルールの適応は,ゴールドマン視野で中心10度以内にⅢ/4eイソプターで視野障害を認める症例とした。FVSの中心暗点ルールの有無によるAMAクラス判定の違い,原因疾患による影響について多変量解析を用いて検討した。

結果:ゴールドマン視野で中心10度以内にⅢ/4eイソプターで視野障害を認める症例は109例(79.6%)であった。性別は男性56例,平均年齢は64歳であった。原因疾患は,緑内障54例,視神経疾患21例,黄斑疾患15例,網膜色素変性13例,その他6例であった。中心暗点ルールによるFVSの差は0〜25点であった。中心暗点ルールの適応により約30%の症例がAMA classで約1段階軽度に補正された。中心暗点ルールの適応によるAMA class補正の有無と,年齢,性別,原因疾患との間には有意な関連はなかった。

結論:FVSでは中心暗点ルールの適応により約30%の症例でAMAクラス分類を約1段階軽度に調整していた。AMA class補正の有無と,年齢,性別,原因疾患に有意な関連はなかった。

参考文献

1)American Medical Association:Guides to the Evaluation of Permanent Impairment(6th Ed.). American Medical Association, Chicago, 2007
2)Colenbrander A:Assessment of functional vision and its rehabilitation. Acta Ophthalmol 88:163-173, 2010
3)Colenbrander A:The Functional vision score-A coordinated scoring system for visual impairments, disabilities and handicaps. IOS Press, Amsterdam. 1994
4)International Council of Ophthalmology. Assessment and rehabilitation of functional vision-Summary. 2008
5)村上美紀・石橋真吾・近藤寛之:FVS(Functional Vision Score)中心暗点ルール適応前後のFVSスコアとAMAクラス.眼臨紀12:194-199,2019
6)鶴岡三惠子・平塚義宗・井上賢治:Goldmann視野計と自動視野計での身体障害者障害程度等級評価の違い.日眼会誌(印刷中)
7)日本眼科学会 視覚障害者との共生委員会,日本眼科医会 身体障害認定基準に関する委員会との合同委員会:視覚障害認定基準の改定に関する取りまとめ報告書.2016 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000166482.pdf

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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