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特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著
副鼻腔炎を伴う眼窩炎症に対してステロイド治療を躊躇した1例
著者: 大池東1 後藤健介12 平岩二郎1
所属機関: 1江南厚生病院眼科 2名古屋大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.498 - P.504
文献購入ページに移動症例:48歳,男性。2か月前からの右眼霧視にて江南厚生病院を受診した。初診時の矯正視力は右0.15で上方視での複視を認めた。CT,MRIにて右外眼筋炎とそれに伴う圧迫性視神経症を認め,同時に右副鼻腔炎を認めた。
結果:特発性眼窩炎症や自己免疫性疾患による眼窩炎症と,鼻性眼窩内合併症として鼻性視神経症が鑑別に挙がり,内視鏡下副鼻腔手術を施行した。手術所見からは副鼻腔炎からの眼窩内穿破や真菌感染は否定的であった。手術後も眼窩炎症は悪化傾向であり副鼻腔炎との関連性はないと判断し,ステロイド内服治療を開始した。ステロイド治療が奏効し外眼筋炎および外眼筋腫脹による圧迫性視神経症は改善した。矯正視力は右1.2まで改善し複視も改善した。
結論:今回,副鼻腔炎と眼窩炎症を同時に認める症例を経験した。ステロイド治療を考慮する場合は鼻性眼窩内合併症を否定したうえで治療を行うことが重要である。
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