文献詳細
特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[2]
原著
病初期より視神経炎を認めた再発性多発軟骨炎の1例
著者: 牛田知子1 牛田宏昭1 夏目啓吾1 鈴村文那1 西口康二1
所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科頭頸部・感覚器外科学講座眼科学
ページ範囲:P.505 - P.510
文献概要
症例:71歳,男性。左視力低下を主訴に近医を受診した。右眼は視力(1.0)で特に異常はなかった。左眼は視力(0.2),限界フリッカ値16.6Hz,視神経乳頭腫脹,ゴールドマン視野検査で中心暗点があり,相対的瞳孔求心路障害陽性であった。左視神経炎と診断し,ステロイドパルス療法を3回行ったが左視力(0.8)と改善するも,その後に悪化し名古屋大学医学部附属病院(当院)へ紹介となった。
所見:当院初診時,右眼は視力(1.0)で異常はなかったが,左眼は視力(0.2)で結膜浮腫と強結膜充血,黄斑浮腫を認め,視神経乳頭は発赤腫脹していた。強膜炎と視神経炎の合併と診断し,左強膜炎にステロイド結膜下注射を行い,さらにトリアムシノロンテノン囊下注射を追加したところ視神経乳頭炎は改善傾向となった。胸部CTにて軟骨部主体に炎症があり,耳介軟骨生検も行った。眼炎症,両側耳介軟骨炎,気道軟骨炎からRPと診断,プレドニゾロン60mg/日の内服を開始したところ左視力(0.3),限界フリッカ値20Hzと改善し漸減となった。
結論:再燃を繰り返す視神経炎の場合,RPの可能性も視野に入れて精査・加療を進めていくことが必要である。
参考文献
掲載誌情報