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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科78巻5号

2024年05月発行

文献概要

今月の表紙

非ウィルソン病銅排泄障害に伴う角膜混濁

著者: 難波広幸1 永沢倫2 稲谷大3

所属機関: 1国際医療福祉大学成田病院 2山形大学 3福井大学

ページ範囲:P.557 - P.557

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 症例は64歳,男性。2日前からの左眼視力障害で前医を受診したところ,網膜剝離を指摘されて山形大学医学部附属病院を紹介された。初診時の視力は右0.4(0.6),左30cm手動弁,眼圧は右15mmHg,左8mmHg。角膜中央部,デスメ膜の深度に黄褐色の一様な混濁を認めた。眼底は混濁部を通して透見可能で,網膜剝離部に裂孔を確認できた。局所麻酔下で左経毛様体扁平部硝子体手術+白内障手術を施行した。

 角膜沈着物の深度・色調から銅の沈着を疑ったが,初診時の右眼(非網膜剝離眼)視力が比較的良好であったため角膜移植の適応とならず,病理組織からの診断には至っていない。白内障手術時に前房水,水晶体の一部を外注検査に提出して銅濃度を測定したが,測定感度以下であった。内科へ紹介したところ,高銅血症と単クローン性免疫グロブリン血症が認められた。セルロプラスミン値は正常であり,また沈着が角膜中央部にみられることから,ウィルソン病とは異なる機序での銅排泄障害と考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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