icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科78巻5号

2024年05月発行

文献概要

臨床報告

転倒による眼球離脱

著者: 尾崎弘明1 伊崎亮介1 原田一宏1 内尾英一1

所属機関: 1福岡大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.558 - P.561

文献購入ページに移動
要約 目的:転倒により眼球離脱を生じた症例報告。

症例:48歳,男性。飲酒後に泥酔状態となり自室で転倒し,家族が倒れているのを発見して救急搬送された。当院受診時の視力は右光覚なし,左1.5(矯正不能)。右眼は眼球が眼窩から遊離した眼球離脱の状態で,外直筋と下斜筋以外は視神経を含めて断裂していた。左眼には異常は認められなかった。当院入院後に全身麻酔下で,右眼の眼球摘出術を施行した。術後は義眼装用となった。眼球離脱の発生機序は転倒時に眼球と眼窩壁の間に入った鈍体の後方からの槓杆作用が働いたためと考えられた。

結論:転倒により,片眼の完全な眼球離脱を生じた1例を経験した。眼球の受傷機転によっては転倒による眼球離脱も稀に生じる。

参考文献

1)小口忠太:大日本眼科全書眼外傷第20巻.831-834,金原商店,東京,1944
2)尾崎弘明・ファンジェーン・梅田尚靖・他:外傷性眼球破裂の治療成績.臨眼61:1045-1048,2007
3)ファンジェーン・尾崎弘明・右田博敬・他:開放性眼外傷の統計学的観察.臨眼62:1343-1346,2008
4)Chhabra HN, Kawuma AM:Luxation of the eyeball. Br J Ophthalmol 70:150-151, 1986
5)Wood CM, Pearson AD, Craft AW et al:Globe luxation in histiocytosis X. Br J Ophthalmol 72:613-633, 1988
6)阿部信博:交通事故による眼球離脱の1症例.臨眼16:567-571,1962
7)秋岡達郎・松海信彦・三好輝行・他:眼球離脱を合併した前頭部陥没骨折の1治験例.日本災害医学会会誌35:573-577,1987
8)河崎一夫・白尾 裕・米村大蔵・他:眼球離脱に頭蓋内出血を合併した1例.眼臨医報76:252-255,1982
9)鈴木範行・藤津和彦・田中直樹・他:外傷性眼球離脱-症例報告と頭蓋内合併症の発生機序に関する考察.脳神経外科16:1293-1297,1988
10)塚本佐知子・高橋 浩・中山滋章・他:顔面外傷により眼球が離脱した2例.眼臨89:319-321,1995
11)Khan JA, Buescher L, Ide CH et al:Medical management of self-enucleation. Arch Ophthalmol 103:386-389, 1985
12)Kiratli H, Tümer B, Bilgiç S:Management of traumatic luxation of the globe. A case report. Acta Ophthalmol Scand 77:340-342, 1999
13)Bajaj MS, Pushker N, Nainiwal SK et al:Traumatic luxation of the globe with optic nerve avulsion. Clin Exp Ophthalmol 31:362-363, 2003
14)Lelli GJ Jr, Demirci H, Frueh BR:Avulsion of the optic nerve with luxation of the eye after motor vehicle accident. Ophthalmic Plast Reconstr Surg 23:158-160, 2007
15)鈴木崇弘・山家 麗・赤塚一子・他:外傷性眼球脱臼に対し眼球整復術を施行した1例.臨眼57:833-835,2003
16)原 克典・谷戸正樹・児玉達夫・他:著明な視力回復がみられた外傷性眼球脱臼の1例.あたらしい眼科28:300-302,2011
17)東川晋語・力丸英明・森久陽一郎・他:視神経が断裂し眼球脱臼を生じた眼窩部外傷例の治療経験.日本形成外科学会会誌32:93-96,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?