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特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
ステロイドの全身投与が著効した小児の急性涙囊炎の1例
著者: 小宮山大輔1 小泉宇弘1 西塚弘一1 山﨑厚志1 小幡博人1
所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター眼科
ページ範囲:P.599 - P.602
文献購入ページに移動症例:6歳,男児。左涙囊部の腫脹が出現し,翌日前医で急性涙囊炎と診断された。抗菌薬の点眼,軟膏,内服薬が処方され,同日当科へ紹介となった。初診時,左涙囊部の発赤,腫脹,熱感があり,急性涙囊炎と考え,前医の処方を継続とした。4日後,涙囊炎は増悪しており,CTで左下鼻道,骨性鼻涙管に含気がなく,耳鼻咽喉科で施行された鼻咽腔内視鏡で左下鼻道の粘膜腫脹を認めた。アレルギー性鼻炎により鼻粘膜が腫脹し鼻涙管開口部を閉鎖し急性涙囊炎が生じたと考えられた。抗菌薬と副腎皮質ステロイドの全身投与を開始したところ,2日後,所見は速やかに改善し,同治療は3日間で終了した。
結論:小児の急性涙囊炎の原因としてアレルギー性鼻炎が考えられる場合は,副腎皮質ステロイドの全身投与を考慮に入れてもよいと考えられた。
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