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特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
視神経炎との鑑別に苦慮したレーベル遺伝性視神経症の1例
著者: 毛利玲於奈1 宮田康平1 栗原茉杏2 田嶋華子2 右田真2 小早川信一郎1
所属機関: 1日本医科大学武蔵小杉病院眼科 2日本医科大学武蔵小杉病院小児科
ページ範囲:P.603 - P.608
文献購入ページに移動症例:14歳,男児。2022年12月から左眼の視力低下を自覚し,当院を紹介され受診となった。視力は右(1.0),左(0.1),眼圧は左15mmHg,前眼部,中間透光体,眼底に異常所見はなかった。相対的瞳孔求心路障害は陰性,平均限界フリッカ値左15Hzと低下,フルオレセイン蛍光眼底造影検査では両視神経乳頭からの蛍光色素漏出を認めなかった。動的視野検査では左眼の中心暗点を認めた。頭部単純MRIでは左視神経高信号を認め,左球後視神経炎と診断した。初診から約1か月よりステロイドパルス療法を施行,その3日目より徐々に右眼視力低下も自覚し,両眼中心暗点が出現した。治療反応に乏しかったため,ステロイドパルス療法2クール目を施行。その後も改善がなかったため,血漿吸着療法を4日施行,さらに免疫グロブリン大量静注療法を5日間施行した。治療抵抗性のため遺伝子検査を施行し,ミトコンドリア遺伝子11778変異を認め,レーベル遺伝性視神経症と診断した。現在,コエンザイムQ10製剤とビタミン療法を行っており,初診から9か月経過した現在,視力は右(0.5),左(0.4p)にて両眼中心暗点は残存している。
結論:小児視神経炎とレーベル遺伝性視神経症は臨床経過が類似している。今回,眼底所見や頭部MRIが非典型的であった点で診断に苦慮し,最終的に筆者らはミトコンドリア遺伝子検査にて確定した。
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