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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科78巻5号

2024年05月発行

文献概要

特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著

内眼手術中に駆逐性出血を認めた4症例の検討

著者: 留守涼1 盛秀嗣1 山田晴彦1 髙橋寛二1

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.609 - P.613

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要約 目的:内眼手術中に駆逐性出血を認め,当院にて治療を行った4症例を検討する。

対象:2006年1月〜2023年2月の期間に,術中に発症した駆逐性出血4例4眼。調査項目は,患者の性差,年齢,発症時の術式,発症の危険因子,発症時の合併症,駆逐性出血発症から再手術を行うまでの期間および再手術時の術式,視力の変化(駆逐性出血発症直後および再手術後の最高logMAR視力),再手術後に最高視力が出るまでの期間を検討した。

結果:男性2例,女性2例,平均年齢が74.8歳であった。発症時の術式は,白内障手術が2例,硝子体手術が1例,流出路再建術が1例であった。危険因子として高血圧症,易出血性の基礎疾患,強度近視,後囊破損,無水晶体眼,無硝子体眼,術前高眼圧があり,術中危険因子として後囊破損,核落下,創部拡大,虹彩根部損傷,無水晶体眼を認めた。再手術までの期間は平均して15.3日であった。再手術は全例で経強膜排液を併用した。駆逐性出血発症直後の平均logMAR視力は1.52で,再手術後の最高logMAR視力は平均0.69と改善した。最高視力が出るまでの期間は平均4.27か月であった。

結論:駆逐性出血が起こった場合でも,適切な時期に再手術を行えば視機能を温存することは可能である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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