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特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
急性リンパ性白血病の眼内浸潤により前房蓄膿とともに高眼圧を呈した1例
著者: 近澤公彦1 廣瀬浩士1 服部友洋1
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター眼科
ページ範囲:P.629 - P.633
文献購入ページに移動症例:ALLに対する造血幹細胞移植後,中枢神経(CNS)浸潤再発により抗体療法,抗がん剤の髄液注射が行われていた57歳の女性。左眼は視神経炎により1年前に失明状態であり,当科で経過観察を行っていた。CNS浸潤再発に対して加療期間中に右視力低下を自覚し,当科受診となった。
所見:受診時視力は右(0.9),左手動弁(矯正不能)であった。眼圧は右30mmHg,左9mmHgであった。軽度の前房蓄膿を認めたが,眼底はほぼ正常であった。右高眼圧に対し緑内障点眼薬や炭酸脱水酵素阻害薬の内服でも眼圧は下降せず,ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム点眼も無効で前房蓄膿は増強した。右前房穿刺にて採取した検体の病理学的検査および細胞表面抗原検査により,ALLの眼内浸潤と診断された。診断後すぐに放射線療法を開始したところ,数日後には浸潤細胞は消退し,眼圧も正常化した。
結論:ALLの眼内浸潤により前房蓄膿とともに高眼圧を呈したぶどう膜炎の症例を経験し,診断に至る過程で病理学的検査および細胞表面抗原検査が有用であった。放射線照射により速やかに症状は改善した。
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