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臨床報告
大腸癌術後にみられた皮質盲の1例
著者: 冨士本成美1 尾崎弘明1 木場亜紀子1 副島園子1 内尾英一1
所属機関: 1福岡大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.677 - P.682
文献購入ページに移動症例:67歳,男性。横行結腸癌に対して腹腔鏡下結腸切除術を施行された。1か月後に視力障害を家族に指摘され,福岡大学病院眼科を紹介され受診となった。初診時視力は右(0.08),左(0.1),眼圧は右19mmHg,左16mmHgであった。前眼部および眼底には明らかな異常はなく,両眼ともに下方の非特異的な視野欠損を認めた。失語や失認,失行などの高次脳機能障害は認められなかった。頭部単純CT検査で後頭葉に低吸収域を認めたために頭部MRI検査(拡散強調画像)を施行したところ,両側後頭葉に急性期脳梗塞を認めて皮質盲と診断された。視力障害の自覚に乏しいことからアントン徴候は陽性であった。原因としてアテローム血栓性脳梗塞を認め,アスピリン内服とヘパリン持続点滴で加療された。治療後に右眼の視野欠損は軽度改善したが,視力改善はみられなかった。
結論:失語や失認などの高次機能障害を認めない稀な皮質盲を経験した。非特異的な視野異常や視力障害がみられる場合には,積極的に頭部MRI検査(拡散強調画像)を行うべきである。
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