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臨床報告
心因性視覚障害における視覚関連基礎スキルアセスメント(WAVES)の応用:続報
著者: 唐下千寿1 松浦一貴2 今岡慎也2 井上幸次3
所属機関: 1鳥取大学医学部視覚病態学分野 2野島病院眼科 3日野病院眼科
ページ範囲:P.683 - P.691
文献購入ページに移動対象と方法:WAVESは複数の図形の相互関係,位置や角度などの認知,複合的な図形の識別能力などを判定する9つの基本検査と4つの補助検査からなる。野島病院,鳥取大学医学部附属病院でPVDが疑われた15例(女13例,男2例:7〜12歳)を対象としてこのWAVESを行った。
結果:初診時には15例すべてで視知覚が低下していた。長期経過を追えた11例では,視力,視野の回復後に視知覚が改善した者が4名,視知覚の改善が不完全な者が6名であった。後に自閉スペクトラム症と診断された1例では,求心性視野狭窄およびWAVESは回復したが,経過を通じて視力が不安定であった。
結論:PVDには,①ストレスによる一過性の視知覚障害を呈した症例と,②生来よりの学習障害や視知覚障害を併せもっており中〜高学年になって問題が表面化した症例とが混在する。WAVESは,PVDなど眼科検査で評価の難しい高次視機能障害の診断の一助になりうると期待される。
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