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特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著
新しい度数計算式Kane formulaにおける他計算式との白内障術後屈折誤差精度の検討
著者: 都村豊弘1 平田万紀子1 曽我部由香1
所属機関: 1三豊総合病院眼科
ページ範囲:P.693 - P.701
文献購入ページに移動対象と方法:対象は2018年10月〜2022年8月に三豊総合病院で白内障手術を施行した535例535眼。IOLはNS-60YG(SZ-1)(ニデック)を使用。角膜曲率半径,眼軸長と前房深度などの生体計測はIOLMaster 500(カールツァイスメディテック)で行った。IOL定数はUser Group for Laser Interference Biometry(ULIB)値を用い,Kane formula(K群),SRK/T式(S群),Haigis式(H群)に使用した。Barrett Universal Ⅱ式(BUⅡ式)(B群)はA定数よりLens Factorを算出し使用した。同じIOL度数における予測屈折値を各式で算出した。術後1か月に他覚屈折値を基に自覚屈折値を算出し,それぞれの予測屈折値と比較した。
結果:術後1か月での屈折誤差平均値(絶対値平均値)はK群 0.014±0.46D(0.352±0.29D),S群 −0.050±0.49D(0.380±0.31D),H群 −0.007±0.43D(0.339±0.26D),B群 0.152±0.47D(0.390±0.30D)となり,平均値,絶対値平均値ともに有意差があった(平均値 p<0.001,one-way ANOVA,絶対値平均値 p=0.042,クラスカル・ウォリス検定)。また±0.25D(±0.5D)以内に入った割合は,K群 46.2%(74.8%),S群 42.6%(71.2%),H群 44.1%(79.4%),B群 40.7%(70.1%)となり,±0.25D以内でK群はB群よりも有意に高く,±0.5D以内でK群はS群とB群,H群は他の3群よりも有意に高かった(±0.25D以内p=0.006,±0.5D以内p<0.026,コクランのQ検定)。
結論:Kane formulaはSRK/T式やBUⅡ式と比べて有意に高く,Haigis式と有意差がなかったことから,度数計算式として術後屈折誤差の少ない有用な式であることが示唆された。
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