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特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著
眼科受診を契機に発見され腫瘍摘出術で寛解した重篤な視野障害を伴う巨大髄膜腫の1例
著者: 山本智佳1 安田慎吾1 住岡孝吉1 今居一輝1 西晃佑1 髙田幸尚1 西川瑞希2 高橋祐一2 雑賀司珠也1
所属機関: 1和歌山県立医科大学眼科学教室 2和歌山県立医科大学人体病理学教室
ページ範囲:P.709 - P.715
文献購入ページに移動症例:47歳,女性。20XX年頃に耳鼻咽喉科で原因不明の嗅覚障害を指摘された。その後20XX+1年の夏頃から,右眼視力低下を自覚し,その後進行性の両眼視力低下を認めたため精査目的で20XX+2年の夏に和歌山県立医科大学附属病院眼科に受診となった。
所見:初診時視力は右(0.01),左(0.3)で,限界フリッカ値は右測定不能,左5Hzと低下を認めた。前眼部,中間透光体,眼底に異常はなかった。ゴールドマン動的視野計では右眼は中心を含む下方の視野欠損,左眼は中心暗点を認めた。頭部MRI検査で嗅窩を含む前頭蓋底に約7cmのT1低信号,T2高信号の造影効果のある腫瘍を認めた。視交叉は前方から圧排されていた。脳神経外科で開頭腫瘍摘出術が施行され,病理組織診断で髄膜腫と診断された。視力は右(1.0),左(1.2),限界フリッカ値は右23Hz,左27Hzまで改善し,ゴールドマン動的視野計も正常にまで改善した。
結論:髄膜腫による圧迫性の視神経障害は,経過が長期間であっても腫瘍摘出術で視機能が改善する可能性がある。嗅覚障害と視力・視野障害を伴う症例では前頭蓋底の腫瘍性病変を疑い,積極的に頭部画像評価を施行することが必要である。
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