文献詳細
特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[4]
原著
視力・視野回復に長期間を必要とした甲状腺視神経症の2症例
著者: 久米泰治1 岸下秀太1 海老原伸行1
所属機関: 1順天堂大学医学部附属浦安病院眼科
ページ範囲:P.741 - P.748
文献概要
症例:症例1は68歳男性,症例2は59歳女性。2例ともバセドウ病による甲状腺眼症であり,複視や眼球運動障害の症状悪化のためステロイドパルス療法目的に順天堂大学医学部附属浦安病院眼科に紹介され受診となった。
所見:症例1:初診時視力は右(1.0),左(1.2)であった。ステロイドパルス療法2クールを施行したが,施行後2か月で右(0.4),左(0.3)と視力低下を認め,甲状腺視神経症との診断で眼窩減圧術を施行した。施行後5か月経過しても視力改善がないため放射線照射を施行した。照射後8か月頃より視力回復を認めた。
症例2:初診時視力は右(1.2),左(0.5)であった。ステロイドパルス療法2クールを施行したが施行後2か月で右(0.15),左(0.02)と急激に視力が低下し,眼窩減圧術を施行した。その後も視力・視野ともに改善が乏しく,放射線照射を施行した。治療から1年ほど経過し,視力回復は認めないが,周辺視野は回復した。
結論:ステロイド抵抗性の甲状腺視神経症に対する眼窩減圧術や放射線治療施行後の視力・視野の回復には長期間を要する症例がある。
参考文献
掲載誌情報