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特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
ロービジョン者における支援と視機能の関連
著者: 松井千瑛1 生杉謙吾1 一尾多佳子12 竹内真希12 加藤久美子1 近藤峰生1
所属機関: 1三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座眼科学 2さくらの森眼科
ページ範囲:P.835 - P.841
文献購入ページに移動対象と方法:対象はロービジョン者113例(女性65例/男性48例)で,平均年齢は63.1±20.1歳である。原因疾患は,緑内障35例,網膜色素変性26例,加齢黄斑変性15例,その他37例であった。良いほうの眼の平均logMAR視力は0.86±0.61(小数視力0.14),平均周辺視野角度は97.0±115.6度,平均中心視野角度は4.0±15.5度であった。支援はルーペ,遮光眼鏡,拡大読書器,スマートフォン/タブレット,歩行訓練の5つとし,それぞれ支援の適応あり,またはなしの2群で視力および視野に差があるか,統計学的検討を行った。
結果:遮光眼鏡適応あり群は,なし群に比べて有意に視力良好であった(p=0.02)。拡大読書器適応あり群は,なし群に比べて有意に視力不良であり(p<0.01),また周辺視野不良であった(p=0.046)。歩行訓練適応あり群は,なし群に比べて有意に視力不良であり(p=0.02),また周辺視野不良であった(p<0.01)。ルーペおよびスマートフォン/タブレットでは視力および視野とも両群間で有意差はみられなかった。
結論:ロービジョン者に対する各種支援のニーズは,視力や視野と関連するものがある一方,関連が明らかでないものもみられ,就業・就学や本人の関心事など,視機能以外の要素を含めて決定されている可能性がある。
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