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特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
非器質的視機能障害の診断における片眼遮蔽下と両眼開放下の視野検査同時施行の有用性
著者: 下田健文1 瀧原祐史1 浦橋佑衣1 高橋枝里1 小島祥1 井上俊洋1
所属機関: 1熊本大学大学院生命科学研究部眼科学講座
ページ範囲:P.893 - P.898
文献購入ページに移動症例:症例1は10代男性で,主訴は左眼視野障害であった。初診時,視力検査,診察,限界フリッカ値測定,光干渉断層計(OCT)検査にて,両眼とも明らかな異常所見はなかった。ゴールドマン視野計(GP)検査で左眼マリオット盲点の拡大があった。1週間後の再診時,左矯正視力は指数弁で,GP検査にて左眼のみ求心性狭窄があった。imo®による両眼開放下視野検査にて左同名半盲様視野障害を認め,GP検査の結果と乖離していた。ハンフリー視野計(HFA)検査では左眼花環状視野障害,黒板視野計検査では筒状視野であった。経過観察のみで左矯正視力1.2に改善した。症例2は20代男性で,主訴は右眼視野障害であった。初診時,視力,限界フリッカ値測定にて両眼とも明らかな異常所見はなかった。OCT検査にて両眼の網膜神経線維層の軽度菲薄化のみがみられた。HFA検査にて右眼のみ耳側半盲があった。imo®による両眼開放下の視野検査にて右同名半盲様視野障害を認め,HFA検査結果と乖離していた。両症例にて造影MRI検査を施行したが,明らかな異常所見はなかった。
結論:片眼遮蔽下(GPやHFA検査)と,imo®による両眼開放下の視野検査結果の乖離が,非器質的視機能障害の診断に有用である可能性がある。
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