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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科78巻7号

2024年07月発行

文献概要

特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著

非器質的視機能障害の診断における片眼遮蔽下と両眼開放下の視野検査同時施行の有用性

著者: 下田健文1 瀧原祐史1 浦橋佑衣1 高橋枝里1 小島祥1 井上俊洋1

所属機関: 1熊本大学大学院生命科学研究部眼科学講座

ページ範囲:P.893 - P.898

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要約 目的:非器質的視機能障害は陽性所見が乏しく,診断に難渋しやすい。今回,その診断に,片眼遮蔽下と,アイモ(imo®)による両眼開放下(両眼ランダム)の視野検査の同時施行が有用であった2症例を経験したので報告する。

症例:症例1は10代男性で,主訴は左眼視野障害であった。初診時,視力検査,診察,限界フリッカ値測定,光干渉断層計(OCT)検査にて,両眼とも明らかな異常所見はなかった。ゴールドマン視野計(GP)検査で左眼マリオット盲点の拡大があった。1週間後の再診時,左矯正視力は指数弁で,GP検査にて左眼のみ求心性狭窄があった。imo®による両眼開放下視野検査にて左同名半盲様視野障害を認め,GP検査の結果と乖離していた。ハンフリー視野計(HFA)検査では左眼花環状視野障害,黒板視野計検査では筒状視野であった。経過観察のみで左矯正視力1.2に改善した。症例2は20代男性で,主訴は右眼視野障害であった。初診時,視力,限界フリッカ値測定にて両眼とも明らかな異常所見はなかった。OCT検査にて両眼の網膜神経線維層の軽度菲薄化のみがみられた。HFA検査にて右眼のみ耳側半盲があった。imo®による両眼開放下の視野検査にて右同名半盲様視野障害を認め,HFA検査結果と乖離していた。両症例にて造影MRI検査を施行したが,明らかな異常所見はなかった。

結論:片眼遮蔽下(GPやHFA検査)と,imo®による両眼開放下の視野検査結果の乖離が,非器質的視機能障害の診断に有用である可能性がある。

参考文献

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2)富田匡彦・松本 直・渡辺研人・他:外傷性視神経症の病態に合致しない視機能障害を来した1例.神経眼科37:58-63,2020
3)後藤克聡・竹上亜也加・荒木俊介・他:両眼開放視野検査が診断の一助となった片眼性機能性耳側半盲の1例.神経眼科34:443-448,2017
4)Bruce BB, Newman NJ:Functional visual loss. Neurol Clin 28:789-802, 2010
5)Keane JR:Hysterical hemianopia. The ‘missing half’ field defect. Arch Ophthalmol 97:865-866, 1979
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7)Goseki T, Ishikawa H, Shoji N:Bilateral concurrent eye examination with a head-mounted perimeter for diagnosing functional visual loss. Neuroophthalmology 40:281-285, 2016
8)Takagi Y, Yokoyama S, Yokoyama Y et al:A case of functional visual loss diagnosed through bilateral randomized visual field testing with a trick method. Am J Ophthalmol Case Rep 32:101877, 2023

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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