文献詳細
文献概要
特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著
両眼性複視を伴った特発性眼窩筋炎に対して下直筋後転術が奏効した1例
著者: 川久保慧1 忍田栄紀1 町田繁樹1
所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター眼科
ページ範囲:P.968 - P.973
文献購入ページに移動症例:75歳,男性。両眼性複視を認め,前医で頭部MRIを施行したが原因不明のため獨協医科大学埼玉医療センター眼科に初診となった。前眼部,中間透光体,眼底ともに炎症を含め特記事項はなかった。交代プリズム遮閉試験による眼位検査で左眼固視にて20△右下斜視,ヘス赤緑試験で右眼の上転障害を認めた。眼窩部MRIおよび血液検査から原因不明の特発性眼窩筋炎と診断した。治療に際して患者は副腎皮質ステロイド内服加療を希望しなかったこと,また第1眼位で上下斜視を認めたことから手術適応と判断し,右眼下直筋に対して下直筋後転術を実施した。手術直後,軽度の複視症状は残存するも眼球運動は改善しており,手術2か月後には複視症状は消失した。
結論:本症例の経過から慢性期の特発性眼窩筋炎に対して斜視手術は複視症状を改善させる可能性がある。
参考文献
掲載誌情報