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特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著
眼外傷に対する硝子体手術後に交感性眼炎をきたした2例
著者: 織田裕敏1 柿木雅志1 澤田修1 大路正人1
所属機関: 1滋賀医科大学眼科学講座
ページ範囲:P.983 - P.990
文献購入ページに移動症例1:36歳,女性。右眼を打撲して眼球破裂をきたし,同日,強膜縫合術,水晶体超音波乳化吸引術と硝子体手術を施行したところ経過良好であった。受傷後62日目に両眼の肉芽腫性汎ぶどう膜炎を認めたためメチルプレドニゾロン 1,000mg/日を3日間投与後,プレドニゾロン 40mg/日の内服に切り替えて漸減した。治療後13か月目にプレドニゾロンを中止したが眼炎症を認めず,治療後15か月目で両眼とも視力(1.5)であった。HLA-DR4は陽性であった。
症例2:64歳,男性。右眼を打撲し前房出血,隅角離断,水晶体亜脱臼を認めた。前房出血は自然消退し,受傷後2か月目に虹彩整復術,水晶体超音波乳化吸引術,硝子体手術,眼内レンズ強膜内固定術を施行した。術後経過は良好であったが術後50日目に両眼に肉芽腫性汎ぶどう膜炎を認めた。HLA-DR4は陰性であった。メチルプレドニゾロン 1,000mg/日を3日間投与後,プレドニゾロン 30mg/日の内服に切り替えたが,漸減中に眼炎症の増悪と寛解を繰り返した。以後漸減し,ステロイド治療後8か月目のプレドニゾロン 10mg/日内服下で眼炎症の増悪を認めず,視力は右(1.2),左(1.5)であった。
結論:眼外傷に対する硝子体手術後に交感性眼炎をきたしたが,早期のステロイド治療により経過良好であった。
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