文献詳細
文献概要
特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著
多様な眼合併症を呈した再発性多発軟骨炎の1例
著者: 三﨑(田原)裕子1 江川麻理子1 佐埜弘樹2 三田村佳典1
所属機関: 1徳島大学大学院医歯薬学研究部眼科学分野 2徳島赤十字病院眼科
ページ範囲:P.996 - P.1002
文献購入ページに移動症例:79歳,男性。X−20日頃から右耳痛,X−10日頃から右耳介軟骨腫脹とめまいの症状があり,X日に精査のため内科に入院となった。さらに右聴力障害,左視力低下が出現しRPCが疑われ,X+6日に前医眼科を受診した。矯正視力は右1.2,左0.4,両眼の前部強膜炎と左眼の虹彩炎を認めた。耳介軟骨の生検でRPCと確定診断され,X+12日にプレドニゾロン(PSL)20mgの内服が開始された。X+13日の診察時に両眼の後部強膜炎と,OCTで乳頭黄斑間の網膜内層に血流障害を疑う高輝度病変を認め,左視力は(0.1)に低下した。X+16日からPSL 60mgに増量され徳島大学病院(当院)に転院し,X+19日に当院眼科に初診となった。後部強膜炎は改善傾向であったが,左視力は(0.2),中心フリッカ値は15Hzと不良であった。X+1か月後のMRI STIR法で左視神経が高信号を示し,左中心暗点と乳頭蒼白化を認めたことから,急性期に左視神経炎も合併していたと考えられた。
結論:RPCは短期間に増悪し,眼球から視神経に至る広範囲に病変をきたす可能性がある。耳介軟骨腫脹を含めた全身所見を確認し,早期に診断,治療を開始する必要がある。
参考文献
掲載誌情報