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特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著
Alport症候群に合併した黄斑円孔の硝子体手術に難渋した1例
著者: 沼賀早紀1 得居俊介1 篠原洋一郎1 秋山英雄1
所属機関: 1群馬大学医学部附属病院眼科
ページ範囲:P.1003 - P.1009
文献購入ページに移動症例:64歳,男性。Alport症候群による難聴と腎不全に対する腎移植歴あり。45歳時に右眼の見づらさが出現し,変視が増悪傾向のため48歳時に精査加療目的に群馬大学医学部附属病院へ紹介され初診となった。
所見:初診時矯正視力は左右ともに1.2であった。両眼黄斑周囲に黄白色点状病変が散在し,OCTでは病変に一致した高輝度病変が内境界膜上にあり,Alport retinopathyと診断した。その後通院中断があったが,両眼の視力低下があり再診した。再診時矯正視力は右0.6,左0.5で,両眼に全層黄斑円孔がみられた。右眼の黄斑円孔に対し硝子体手術を施行したが,人工的後部硝子体剝離の作製を試みるも周辺まで起こらず内境界膜剝離も困難であり,シリコーンオイル注入で手術終了となった。術後OCTで黄斑円孔未閉鎖であったが,円孔径は縮小した。
結論:Alport症候群に合併した黄斑円孔に対する手術適応は,後部硝子体剝離や内境界膜剝離が困難な症例も存在するため,慎重に決定する必要がある。
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