文献詳細
文献概要
特集 第77回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著
当院における外傷性黄斑円孔の治療成績
著者: 北村昂司1 恩田秀寿1 遠藤貴美1
所属機関: 1昭和大学病院附属東病院眼科学講座
ページ範囲:P.1139 - P.1145
文献購入ページに移動対象と方法:対象は,2013年4月〜2023年3月に昭和大学病院附属東病院(以下,当院)を眼球打撲傷のため受診し,外傷性黄斑円孔と診断された6例6眼である。性別,年齢,受傷機転,黄斑部合併症の有無,後部硝子体剝離の有無,光干渉断層計(OCT)所見,治療方法,視力について,診療録よりレトロスペクティブに抽出した。なお,外傷性黄斑円孔の治療方針は,経過観察ののちに,OCT所見上,円孔径の拡大やfluid cuffの立ち上がりを認め,円孔の自然閉鎖が期待されない症例に対して硝子体手術を施行した。
結果:6例全例が男性であった。内訳は,10歳台が4例,20歳台が1例,30歳台が1例であった。受傷機転は全例がボールの直撃であった。自然閉鎖を認めた症例は4例で,受傷より1か月以内で閉鎖した症例が3例,受傷後16週で閉鎖した症例が1例であった。4例中1例にのみfluid cuffを認めたが,架橋構造がみられたため経過観察とし,その後自然閉鎖した。硝子体手術例は2例であり,術前OCT所見にてfluid cuffを認めたが,最終的な黄斑円孔閉鎖率は100%であった。最終logMAR視力の平均は,自然閉鎖群で0.011±0.113,手術群で−0.08±0であった。
結論:外傷性黄斑円孔は,球技を行う若年者で発症する傾向にあった。OCT所見に着目した治療方針で,良好な視力予後が得られた。
参考文献
掲載誌情報