icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科8巻1号

1954年01月発行

雑誌目次

診療報酬計算早見表

ページ範囲:P. - P.

綜説

Trachomaの免疫について

著者: 筒井純

ページ範囲:P.1 - P.7

 今般臨床眼科編集室よりの御依頼により,私のChibret賞授賞論文「Tr.の頻回感染による廣義免疫の研究」(佛文)1)の日本譯を綜説として掲載する樣にとの事でありましたが,實はこの論文の豫報とも云うべきものは既に臨床眼科2)に發表したので今回はTr.の免疫問題について私共の行つた研究を中心に分り易く綜説的に述べて見ることにした。

保險問答

マイシリンの點數算定法

ページ範囲:P.7 - P.7

 問 マイシリンプロカイン(ペニシリン30萬單位,ペニシリンGカリウム10萬單位,ストレプトマイシン0.5g)の點數算定法。
 答 マイシリンにに關する點數規定を示せば(1)マイシリン注射(溶解劑を含む)ストレプトマイシンの有含量0.25g……14點

傷病名の記入

ページ範囲:P.45 - P.45

 問 癌,ヒステリー等にて本人に疾患名を知られたくない場合被保險者證に傷病名を如何に記入すればよいか,ドイツ語の使用は認められるか。
 答 保險診療に關係ある諸書類の傷病名の字體については,邦字でなければならないとの規定はないが,一般には被保險者または保險者の理解の必要から邦字を用いることが立前となる。

臨床實驗

直流刺戟の視力に及ぼす影響 第Ⅰ編—近視に就て

著者: 片山太郞

ページ範囲:P.9 - P.12

 近視に關しては從來より幾多の研究者により成因,並びに治療に關して報告されている。我國に於ては1940より1945年の頃より盛んに研究され,其後も近視の成因に關しては甲論乙駁にて毎年論爭されて來たのである。著者も些か近視に關心を抱いていたが,先に直流刺戟による角膜知覺を測定中に被驗眼に視力に關して興味ある事實を經驗した。而して昨年來直流刺戟が人眼の視力,並に眼壓に如何なる影響を與えるかと云う點に關して實驗を行い,未だ報告に接しない興味ある成績を得たので報告する。尚本編に於ては主として近業近視を對照としたので其の成績に關して種々考察したく思う。

弱視の病型と視束炎の實體

著者: 桑島治三郞

ページ範囲:P.12 - P.15

Ⅰ.弱視,とくに中毒弱視について
 「弱視」という診斷名ないし病名がわが國で餘りつけられないのは大體つぎのふたつの理由による。
 1)弱視という用語が俗語にちかいものであつて學術語として適當でないと考えられていること。

緑色腫の1例

著者: 藤永豊

ページ範囲:P.15 - P.20

 緑色腫は主として幼少の男兒を侵し,迅速な經過を辿り死の轉帰をとる極めて惡性の腫瘍を骨膜外に形成する稀れな疾患である。本症の記載では我が國では林1)の報告以來相當例の報告があるが本態に就ては未だ定説がない。菅沼2)に依れば,淋巴及び血液形成機關の特殊な疾患に際し,骨體或は淋巴組織の破壊が原因であつて,腫瘍は2次的なものであるとしている。血液像が特有であつて,白血病の特殊型とも考えられている。さらに特徴とすろのは眼球が侵されている事である。
 私は本症の1例を經驗し,剖検に依り組織學的に検索する事が出來たので茲に報告しよう。

結膜角膜乾燥症に對するチヨコラAの使用と病理組織學的觀察

著者: 村上宏

ページ範囲:P.20 - P.23

 戰時中及び戰後の食糧事情の惡かつた時代にはV-A缺乏による眼障碍は珍らしいものでは無かつたが,昨今諸事情の安定につれて此らの眼障碍はあまり見られなくなつた。併し乍ら都會地の一隅には未だ小兒のみでなく老人に迄本症を見る。私は昨年夏12例のV-A缺乏に基因した結膜角膜乾燥症併びに夜盲を見たので,高單位V-AチョコラA點眼及注射療法を施行して見るべき効果を認め,且つその内3例に於て治療前と治癒後に於ける「ビトー氏斑」の組織片を得て比較検索する事が出來たので報告する(使用藥劑はチョコラA滴1cc 50,000單位V-A,同水性注射1筒25.000單位V-Aである)。

私はトラコーマをどう治療しているか

著者: 金田利平

ページ範囲:P.25 - P.28

 トラコーマ(以下Tr.)に大變効果あるSulfa劑(サルフアダイアジン,サルフアチアゾール等)抗生劑(テラマイシン,オーレオマイシン等)が先ず自由に使用し得る樣になつた現在,Tr.の病期病型特に病期によりどの樣な治療をしたらよいか標準的なものが確定的になつてもよい時期です。適正な治療は正しき診斷に依て可能です。では全ての特に初期Tr.は何人も正しき診斷が可能かというと不可能です。Tr.が急性に或は慢性に發病するものか眞の初發病状が未決定だからTr.の經過に不明な點がある。
 故に全てのTr.の正しき診斷が不可能なのは當然です。正しき診斷治療はその疾病の本態を正しく把握しておらなければならないが,Tr.の本態は慢性肉芽性結膜炎だとは決定しているが,その原因は單一か,單一でないかは未決定です。Tr.は早期に受診し初期に完全に治療せねばならぬと患者にいうが,そういう眼科專門醫師自身でTr.の初發病状が曖昧模糊でわかつていない方がいる。Tr.の眞の初發病像及びその經過が末決定の現状で,どうして眞の適正な治療が實施されましようか。Tr.が,Sulfa劑で根治出來るとか,出來ないとか,抗生劑はTr.に萬能とか萬能藥でないとか論じているのはTr.の本態を正しく把握してない證據です。

流涙症の統計的一考察

著者: 有村正明

ページ範囲:P.28 - P.32

 眼科臨床上流涙を主訴として來る者が割に多く特に冬期は外來患者の何%かがこれで占められている。併し一般には涙腺と涙道の機能異常に其の原因を求め,且つ兩者の間は各々獨立した疾患として治療の對照になる弊におちいりやすい。そこで私は涙腺機能検査をSchirmer氏の變法で,涙道の通過機能を「フルオレスチン」微量結膜滴下法で,又涙道の通過性を涙道洗滌法で検し併せて結膜,角膜の肉眼的觀察を夫々同一患眼について行い,其の結果を綜合して流涙症の實體について考察を加えた。

梅毒性眼疾患の驅梅療法(第Ⅰ報)—シユワルツマン濾液,ペニシリン,砒素,蒼鉛併用療法

著者: 小原博亨 ,   友松實枝子 ,   澁谷聰

ページ範囲:P.32 - P.36

 最近,シユワルツマン濾液或はチフスワクチンが單獨或は併用の型で驅梅療法に取り上げられている。シユワルツマン濾液としては小堀,池永兩氏の腹チフス菌培養濾液と釜谷氏のコンムニン療法があり,腹チフスワクチンでは渡邊氏の報告がある。併し乍ら未だ其の作用機序や其の効果には末解明の點がある。他方,ペニシリンが驅梅療法に登場して副作用の無い點と治療期間の短縮と云う點に於て優れCurtis et al.等のFlocillin療法が推漿されているが,アメリカ以外のFloci-llinは小粒子性でなく大粒子性であるため砒素或は蒼鉛或は其の兩者との併用療法がアメリカ以外の國々では採用されている。
 私共はペニシリン,砒素,蒼鉛,併用療法に更にコンムニンを併用したが吾々の期待に反して血清陰轉と云う事實は殆ど見られず,眼梅毒患者の血清陰轉と云う事の困難を痛感し更に適切なる方法を考究する必要を訴えたい。

オーレオマイシンの結膜下注射による外傷性全眼球炎の治験例

著者: 荻原武雄

ページ範囲:P.36 - P.38

 外傷性全眼球炎は日頃しばしば經驗する疾患であるが,豫後は常に不良で早期に眼球内容除去を行うか又は自潰排膿して眼球萎縮におちいる。更に不幸な場合は炎症が眼窩内に波及して眼窩蜂案織炎を起したり,また轉移して化膿性腦膜炎を起すことがある等重篤な眼疾患である。近年化膿性疾患に對する化學療法の進歩と共に外傷性全眼球炎に對しても種々の抗生物質が使用されて來たが,ペニシリンが主であつた樣である。教室の稲用(昭27)はオーレオマイシンとヒアルロニダーゼを結膜下に注射することにより失明には終つたが,眼球内容除去を行うことなく比較的短期間に消炎せしめ得た外傷性化膿性虹彩毛樣體炎を報告した。私も最近比較的早期の外傷性全眼球炎を經驗しオーレオマイシンとヒアルロニダーゼの混合結膜下注射により失明を免れることが出來たので追加報告する。

人胎兒網膜の發生に就て—特に眼胚後極部の發生(1)

著者: 市川達

ページ範囲:P.38 - P.45

第1章 緒言
 網膜の發生に付いては古くより幾多の研究があるが,人胎兒に關するものは少ない。人眼に於ては新鮮な良好な材料を,特に極めて早期のものを自由に蒐集する事が困難である爲であらう。然しながら既にChievitz1),Seefelder2),Mann3)等は人眼網膜の發生に關して詳細な研究を發表している。恩師中村康教授は昭和24年視器の發生に就て數年に亙り報告せられ網膜の發生過程に就ても其の概略を明かにせられた。
 近時網膜の機能に關する研究は盛んであり,その組織化學的研究も多數發表せられている。私は基礎の又基礎とも言うべき發生學的研究も又有意義なりと信じ,本邦人胎兒につき網膜の發生を研究した。

轉移性テノン氏嚢炎の1例

著者: 唐木正一

ページ範囲:P.47 - P.48

 頬部の癤より蜂窠織炎となり,テノン氏嚢炎を起し遂には心臓を侵した敗血症の1例を經驗して痛感した點を報告したいと思う。

急性アレルギー性(眼瞼)結膜炎に就て

著者: 後藤匡 ,   八木橋彰

ページ範囲:P.49 - P.58

 Pirquetが1906年にアレルギー學説を提唱して以來,各分野に於てその原因がアレルギーによつて解明せられる事が多くなり,眼科部門に於ても1928年にSeefelderにより續いて林,Kruckma-nn等によつて春季カタルの原因がアレルギーに依るものとされてより,その後多くの疾患がアレルギー性病變と見做されて來ている。アレルギー性結膜炎乃至眼瞼炎は是等の中にあつて特にその抗原が比較的容易に證明せられる事から,多種多樣のものが擧げられ「アトロピン」「コカイン」「ヂオニン」猩紅軟膏等の點眼に依るもの又,その他動植物性の物質に屬するものも種々報告されている。尚,從來より白髪染による急性結膜炎が特異の症状を呈する事は一般の興味をひき,今日是もアレルギー性結膜炎の代表的なものの一つとされている。
 所で戰後各種の抗生物質,或はスルフアミン系統の點眼藥が廣く一般に市販せられ,又我々もその診療に好んで長期に亘つて連用するようになり是等の藥劑或はその基劑に對する急性のアレルギー性結膜炎乃至は眼瞼炎が急激に増加の傾向を示して來ている。然しながら此の急性アレルギー性結膜炎に關して,少數例の症例報告は多數見られるが未だその詳細なる報告には接していない。

オーレオーマイシンのトラコーマ性パンヌス潰瘍並に浸潤に對する効果

著者: 今泉龜撤 ,   服部而立 ,   氏家正夫

ページ範囲:P.59 - P.63

 角膜のトラコーマ性病變に對しては,結膜病變と異つて,直接視力に關係する爲に,從來思い切つた治療が不可能で,トラコーマ治療上誰もが難澁を感じていた。然し最近トラコーマに有効な抗生物質の出現は,獨り結膜病變に對してのみならず,角膜病變に對しても有力視され,注目を受けるに至り,本邦に於ては既に三井,出口,淸水,北村の諸氏,本教室の今泉,堀内等によつて,斷片的な臨床實驗ではあるが,若干の報告をみている。今回吾々は,角膜のトラコーマ性病變,殊にパンヌスに就て,可成り多數の症例を以て,而も系統的に才一レオマイシンによる各種治療法の比較實驗を行つたので茲に報告する。

麥粒腫と誤られたる前頭骨骨髄肉腫の1例

著者: 木村一雄

ページ範囲:P.65 - P.67

 麦粒膿と誤つたものに眼瞼ゴム腫(井畑氏),乳嘴腫(楠元氏),硬性下疳(黑澤氏,蓮沼氏),傳染性軟瘤(小畑氏)等がある。報告例は初期,内麦粒腫及深部眼瞼腫瘍の症状を呈しながら實は,前頭骨の骨髄肉腫(骨髄性細網肉腫)であつた興味あるは症例である。

翼状片内嚢腫

著者: 生駒一太

ページ範囲:P.69 - P.72

 翼状片内嚢腫は洋の東西を問わず比較的稀なもので,Samelsohn (1872)の報告,我が國に於ては藤原鐵太郞氏(1910)の報告を以て嚆矢とする。以後我が國に於ては私の報告例まで含めて調査し得た範圍内では20氏22例である。

高齡者に見たる束状角膜炎に就て

著者: 南ミツ

ページ範囲:P.73 - P.74

 束状角膜炎は遊走フリクテンの別名がある樣にその症状もフリクテン樣であつて,恐らく原因もフリクテンと同一のものであろうと云われている。
 羞明,流涙,異物感があり,眼球結膜が充血し角膜に表在性浸潤を形成する點はフリクンと同樣であるが,特有な點は,始め角膜輪部に生じたフリクテン性潰瘍が次第に角膜中心に向つて遊走し表在性の新生血管がこれに追從し,球結膜より角膜内に進入する。浸潤の一部は潰瘍となるが,これは更に角膜中に深く進入して大きな潰瘍を形成することがあります。本病は一般に治癒困難ではないが,屡々反覆して角膜に放射状の多數の翳を殘し,視力を害する事がある。

ヘルペス性角膜炎に對するコーチゾンの効果とアレルギー性瀰慢性表層角膜炎に就て

著者: 牧内正一 ,   長又博之

ページ範囲:P.75 - P.78

 口唇や眼瞼のヘルペスは1〜2週間で治癒するのに,角膜ヘルペスの多くが長い經過を辿るのは何故であろうか。また最近角膜ヘルペスに對してオーレオマイシン,テラマイシン,サルフア劑,コーチゾン等が使われているが,其の治療成績は極めて區々で,或る場合には全く相反した成績が報告され,殊にコーチゾンについては,劇的な効果を謳つた報告のある反面,全く無効の報告もあるのは一體いかなる理由によるのであろうか。
 私達はヘルペス性角膜炎の經過を精細に觀察し更に動物實驗を行つた結果,以上の疑問に對して解答を與えることが出來たと思うので,こゝに報告して諸賢の御批判を仰ぎたいと思う。

Domiannatrium(6-Sulfanilamido-2, 4-dimethyl Pyrimidine-natrium)の眼科領域に於ける應用

著者: 水川孝 ,   中山郁郞 ,   西山敬太郞

ページ範囲:P.79 - P.82

Nordmark werke研究所のLoop(1946)により合成された6-Sulfanilamido-2,4-dimethylprimidine)は
 (図省略)
の構造式を有し,グラム陰陽兩菌に廣範な抗菌性を有し,(特に大腸菌,變形菌,淋菌,葡萄状球菌,連鎖状球菌,肺炎双球菌,赤痢菌に強力な感受性があると言われている)且つ,溶解性,吸收排泄,體組織への移行並に毒性に於ても,既存のズルフアミン劑よりもその優位勢が認められている。勿論該劑は各科領域に於て應用され,優秀な事實が認められつつあるので,鴬然我が眼科領域に於てもその應用が問題になるべぎだが,殊にそのナトリウム鹽である
 Domiannatrium(6-Sulfanilamido-2,4-dimethylpyrimidine-natrium)
 (図省略)
は溶解性の點に於て,Domianより遙かに優れ,局所使用に便利である故,その局所的投與に於て如何程の効果を收め得るかを検討することが最も必要と考えた。

眼科領城に於けるチョコラA及びチョコラBB使用經驗

著者: 藤山英壽 ,   加藤道夫

ページ範囲:P.83 - P.85

 今回日本衞材株式會社提供のチョコラA及びチョコラBBを數種の眼疾患に應用し經過を觀察する機會を得たので茲にその要旨を報告する。

銀海餘滴

コーチゾンの點眼投與は認あられるか/小涙點の切開點數

ページ範囲:P.67 - P.67

◇靜岡縣の照會
 眼科處置としてコーチゾンの使用が認められ,その點數が新設されたが,點眼藥の投與も差支えないものか。差支えないものとすればその藥治料の點數算出方法を適用し,5%5cc1回分30點としてよろしいか。(コーチゾン2cc500mg一管の市販價格4,500圓)もし點眼藥の投與不可とすれば1日3回或はそれ以上の處置を要するが,此の場合,毎回所定點數(5點)を請求してよろしいか。

お知らせ

著者: 佐藤勉

ページ範囲:P.72 - P.72

 ウィーンのProf・KLindnerから次のような手紙が來て居ります。
 前文略

ビタミンとミネラルの亂用問題

ページ範囲:P.74 - P.74

 近年ビタミン類の種類が増加し,その生理的作用も開明されるものが増加するにつれて,世人のビタミンへの關心は益々増加し,加うるにミネラル殊に微量元素に關する知見が急速に進歩したことに促されて,ビタミン類とミネラルとを併合した綜合製劑が續出する傾向にあり唯單に多々益々辯ずると言つたような考え方で徒らに高單位のビタミン類を使用することは患者の經濟力に對する冒涜であるばかりでなく,その生命に對ずる脅威とさえなつて,醫師たる者の絶對に爲す可からざる事であると考えられる。これよりも更に輕きに範圍内においての例としても,日本人に最も縁の深いビタミンB1の使用に關しては,1日の必要量が1-10mg位であるから,B1缺乏の状態にあつたとしても,1日5-10mgを内服せしめることによつて數日から10數日の中に奏効する筈であり,假りに内服不向きの例においても1日3-5mg位を注射して反復すれは良いわけで,1回に10mgも20mgをも靜注するようなことは脚氣の衝心でも迫つておらない限り不必要のことに屬すると思われるのである。
 ミネラルに關しても全く同樣であつて,日本人の食物に平素から不足し勝ちな種類のものを生理的必要量の範圍内で常用せしめるような處方の製劑にすべきであり,唯ミネラルに屬すると言う理由だけで燐やマグネシウムの如きものまでも混合して置くことは,却つて有害であると言わねばならないのである。

保險問答 コーチゾンの點眼の請求點數

ページ範囲:P.78 - P.78

 問 貴誌第1541號(11月7日發行)の療養の給付に關する疑義解釋中,コーチゾンとペニシリンの洗,點眼處置點數について。
 (1)コーチゾン點眼2點は1眼の點數なりや, (2)トラコーマ治療中1眼に急性結膜炎を起した場合複洗3點ペニシリンまたはストレプトマイシン1點,テラマインン1點,計5點請求出來得るや。

蛋白強化食/蛋白強化食(2)

著者: 杉靖三郞

ページ範囲:P.82 - P.82

 わが國でもビタミン強化食品は試みられ,パンでは實施されていますが,最近では世界の傾向としては,ビタミンの時代をすぎて,ミネラルの時代さらに蛋白質強化の時代に入つたようです。このことは,藥としてもビタミンからミネラル,そして蛋白質藥品(アミノ酸,グロブリンなどの注射)が登場して來たのと平行しているようです。
 では,蛋白質とは何か,これについてのべてみましよう。

臨床講義

Hexamethonium bromideの使用經驗

著者: 三國政吉

ページ範囲:P.86 - P.90

 1848年來Paton及びZaimis等によりMeth-onium鹽の藥理作用が研究され,これが交感神經節及び副交感神經節遮斷作用を有し,高血壓症に對して降壓作用のあることが示唆されてから遽かに注目せられ,
(1)内科方面に於ては高血壓症に對する多くの實驗報告が見られるし,

私の經驗

注意すべきペニシリン藥用異變?

著者: 中泉行正

ページ範囲:P.91 - P.91

 近頃化學療法抗生物質が大流行で何でもペニシリンが使用される樣になつて來た。又價格が非常にやすくなり以前の樣に貴重な藥品という事もなく又種々便利なる形で發賣されているので廣範圍に使われる樣になつた。但し如何なる藥品でも藥治効力があると共に一面必ず毒作用もあるもので其點は必ず注意しなければならない。日常最も使用されるペニシリン眼軟膏でも,患者が賣藥を使用して眼瞼縁炎や顔面の濕疹を起す事は屡々經驗することで,結膜炎をなおそうとしてかえつて惡化させたという樣な事も度々の事である。これも「ペ」カブレなどと云われているが,それも事實にはちがいないが軟膏の基劑のワゼリンが惡い事も考えねばならない。ワゼリンも戰前の樣な,アメリカ,チエスブルー社のワゼリンが市販に出る樣になつたからこれを使えばよほどよいと思われる。
 但し今の市阪のペ眼軟膏は皆普通の日本藥局方白色ワゼリンを使つているらしい。又我々眼科醫がペ軟膏を使う時に非常に高單位のものを使う事がある。そうすると若年者では殆んどないが老年者ではその爲に表層角膜炎を起す場合があるらしい。永く高單位を使う事は老人などには考えられねばならない。但しこれもペの中に通常含有される分散劑などの作用も考慮の中に入れねばならない事勿論である。

眼壓の日差及び交感性眼壓の小計

著者: 中村陽

ページ範囲:P.92 - P.93

1)眼壓の日差に就て
 a)實驗方法
 第一及び第二醫院に於て單性線内障患者7名に就て1日を午後4時より翌日午後迄とし3〜4時間間隔でシエツツのトノメーターを用い眼壓の日差を測定した。
 b)實驗成績別圖の通りである。

--------------------

讀書寸感

著者: 中村康

ページ範囲:P.94 - P.95

1) Das Auge als Subject (Fretz Rosler氏著)(Das Wahrnhemungs bild unc ihre Prufung)177頁1947年版3000圓.
 Moudrich書律の出版で大層面白い本である。束状光線に對する見え方を研究したもので眼の光學的誤りを調べたものである。著者は先づ眼を物理光學的に觀察し,次で生理光學的に調査したと言う。曚輪を主體とし,曚像を考慮に入れて論述している。第1章は認識像と其構造を説き及んでいるが,圖が多く,殊に色圖を用いてあるので,理解に便である。第2章はコバルトランプを用いての見え方の研究である。黄斑視の檢査,色覺の檢査を初めとして,屈折異常の檢査にコバルトランプが利用されている。此は私の眼鏡學でも述べた處である。次には近距離視の事が述べてあり,調應に伴う見え方の變化から,近距離視レンズの決定,眼精疲勞,斜位の事に及び調節痙攣に基く見え方の變化,近距離の時の亂視の度及び軸の移動,近距離視に伴う眼廻轉等を記している。最後に中心外視.非相稱視,多視症,圓錐角膜の場合の光束の見え方を論じたものである。日常私共が普通と考えている光學的誤りを,色々所作を加えて一層明瞭にして,之に解釋を加えたものである。生理光學を學ばんとする人は一度目を通してみるとよい本である。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?