臨床眼科8巻10号

1954年10月発行

臨床実験

眼瞼癌腫2例に就いて

著者： 酒井利彦¹

所属機関： ¹慶大眼科教室

ページ範囲：P.1033 - P.1035

　眼瞼癌腫は我が国に於ては大正4年，河本氏の報告以来，昭和24年迄に121例の報告をみている。眼瞼癌腫は，他の部位に発生する悪性腫瘍に比し，予後は良好なものが多い。併しマイボーム氏腺（以下「M氏腺」と記す）から発生する場合は屡々霰粒腫，麦粒腫或はゴム腫と誤られ手術を繰り返している間に増悪する事が稀でない。昭和21年慶大眼科外来に於て眼瞼癌腫2例を観察する事が出来たので，茲に報告する。