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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科8巻11号

1954年11月発行

文献概要

臨床実験

角膜後面硝子樣紐帶に就て

著者: 呉基福1

所属機関: 1日医大眼科

ページ範囲:P.1086 - P.1087

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 重篤な虹彩炎又は角膜実質炎を経過した後De-scemet氏膜の破裂或るいは炎症性腫脹を起した角膜の皺襞形成のため或るいは前房滲出物によるFibrinが角膜裏面に推積した結果角膜後面によく硝子様紐帯が発生する。Lehmann氏は角膜実質炎103症例を詳細に調査し其の17.5%に此の紐帯の発生を証明し其中の大部分は梅毒性のものであつたと報告している。従つて硝子様紐帯の発生は角膜顕微鏡をもつて症例を精査すれば決して稀有なものではないが其の発生機転に就ては未だに確定的な結論を得ていない。私は今迄斯る症例を4例経験しているがDescemet氏膜の断裂又は皺襞形成によると思われる様な症例に遭遇した事はなくFibrin推積によるものであつた。此の硝子様紐帯はたいてい基底を角膜下方中央部の裏面にもちEhrlich-Turk'sche Linieの範囲内に於て放射線状に1—数条の紐帯を放出していた。此れは前房に滲出したFibrintが前房温流によつて角膜裏面のほぼEhrlich-TUrk'sche Linieの範囲内に推積し而後症状の慢性経過によつて不完全吸牧となり,終に索状の組織化を起したものであると思われる。
 今茲に代表的な症例を報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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