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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科8巻11号

1954年11月発行

文献概要

私の経験

白内障手術追報(第2報)角膜弁切開と同時に虹彩の周辺部が切除された症例(極めて浅き前房眼球の弁状切開法—河本重次郎先生法)

著者: 瀨戸糾1

所属機関: 1三楽病院

ページ範囲:P.1135 - P.1135

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 前房の浅い硬性白内障に於て,線状刀で角膜弁状切開を行う場合,成書が教うるが如くに刀を運用せざれば,虹彩が刀に捲まりで虹彩を傷くる率が多い。殊に刀の刄が瞳孔縁を過ぎる迄に捲まぬ様に注意す可きである。私も今までに虹彩を線状刀で傷けた事は屡々あるが,虹彩の周辺部のみが切除され,瞳孔大の欠損の出来た症例を初めて経験した。斯かかる場合,その儘核の分娩を計れば核の上端が周辺切除孔から顏を出して,手術を困難ならしむる事がある。畏友故秋谷博愛薄士が,周辺切除孔から核の一端が顏を出して,非常に困つたと,生前私に云われた事があつた。私はその時,第1図の様な所置,或は,図解眼科に書いた様に,虹彩鈍鈎(桐沢氏第2図)で虹彩を引き出して切断(桐沢氏虹彩鈍鈎は平常は準備してないので)或は切除すればよいと考えて居つたので,上述の例に初めて逢うたのだけれども,秋谷君との対話の御蔭で,あわてる事もなく,図の如くに橋状虹彩部を虹彩剪で切断せるに,虹彩は自己の弾力により,幅広の虹彩切除を加えたるが如くになり,核は分娩さる。
 恩師河本重次郞先生法,先生は前房の極めて浅き硬性白内障中,普通の様式でやれば,瞳孔の上縁が線状刀の双に捲縮すると思わるる程浅きものに対しては,刀の前房内への刺入より刺出する迄の刀の運用は,第3図に見るが如く,その技実に神に迫るものあり。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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