特集 第7回臨床眼科学會
普通講演
(22)メチレン青による臨床的角膜新陳代謝測定法に關する研究(第1報)—檢査方法に關する基礎的研究
著者:
筒井純12
所属機関:
1岡山大學醫學部眼科教室
2岡山大學金光分院眼科
ページ範囲:P.205 - P.210
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角膜疾患の臨床検査法の一つとして,その生化學的機能を診斷する方法は今日迄知られていない。從つて角膜疾患に際して,その代謝機能がどうなつているかと云う事は非常に大切な事でありながら殆んど分つていない。今日迄僅かにW2r-burg検壓計による呼吸解糖の測定により,その一端をうかがつているに過ぎないが,此の方法では角膜を切除しなければ測定に供せられない爲に動物實驗の域を脱していない。臨床的に用いる爲にはどうしても眼球を損傷しない樣にして検査する方法でなければならない。我々は種々の角膜變性疾患や溷濁した角膜についてその代謝機能を測定し,病因の一端をうかがい,出來ればその豫後をも判定したいものである。又角膜移植等に際しても,角膜の生活機能の低下があるかどうかを調べてから適應を決めれば,より一層好結果が得られるのではなかろうかと思われる。こうした臨床検査を目的とした一つの方法を作り出す目的をもつて,私はメチレン青の角膜内注射により角膜の代謝機能を測定する事を思いついた。メチレン青注射による代謝の測定は角膜では行われていないが,皮内反應としては生體の脱水素機能の測定に用いられている。即ち脱水素酵素によつて離脱された水素とメチレン青が結合する事によつて,メチレン青はロイコメチレン青となり脱色される。從つてメチレン青の脱色速度を測定すれば脱水素酵素の機能状態が分るわけである。