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綜説
英国,独逸,瑞西,米国を巡りて(4)
著者: 呉基福
所属機関:
ページ範囲:P.563 - P.566
文献購入ページに移動 私は欧洲の旅を終えて新大陸米国のNew-Yorkへ真夏に上陸した。此処で大陸という言葉は色々の意味に於て不適当であるかも知れない。しかし欧洲から渡つていつた人達にとつて米国は今でもやはり新大陸である。一つの国家が新しいというのは歴史が浅い事と現代である事を意味するものであつて歴史が精神文明をあらわすものとするならば現代は物質文明をあらわすものである。こういう言い方は極めて大ざつぱでけつして現代が精神文明を有していない事を意味するものではなくたゞ現代物質文明に精神的の裏づけがついてしつくりゆくまでは歳月を要する事を意味するだけである。こういつた印象は始めて米国に来た欧洲人特に同じEnglish speaking Peopleであつても劇しい戸惑いを感ずるものである。色々の政治的理由からであろら米国人から真先にするPasportの検査,或るいは税関の荷物の検査の仕方,タクシー,ホテル,町の風景等一切が旅人に精神的のゆとりをもたせていない。しかし私はこゝで米国紀行を問題にしようとは思つていない。私の希望は米国の眼科を知る事であつて旅の些細事は末節である。
文明に物質文明と精神文明を分けて考えると同じ様に科学にも形而上と形而下のあらわれがある。そのいづれを対象にするかは人によつて異るが形而上のものは時代の流れがなくてはうち建てられ得べきものではない。一つの大きなbuildingを建てる事は容易である。
文明に物質文明と精神文明を分けて考えると同じ様に科学にも形而上と形而下のあらわれがある。そのいづれを対象にするかは人によつて異るが形而上のものは時代の流れがなくてはうち建てられ得べきものではない。一つの大きなbuildingを建てる事は容易である。
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