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臨床実験
Amsler & Huber's Fluorescein Testの追試
著者: 柳田博子1
所属機関: 1大阪市立医大眼科
ページ範囲:P.907 - P.910
文献購入ページに移動 1881年Ehrlichが始めて実験して以来,血流中に注射された色素〔特に拡散度の高いFluorescein(以下F1と略す)〕は,血液房水柵における毛細血管壁を通して前房内に現われることが知られている。この血液房水柵の毛細血管は,体の他の部分の毛細血管と異り透過性が低く,血液中のF1の僅か一部分のみがその壁を緩徐に透過し,実際には健全な眼においては血液中の約100分の1量だけが通過するに過ぎないという。(Goldmann1))しかし色々の条件でこの透過量が変動する為に,動物にF1を静脈内注射してその前房内移行量を測定する実験は広く行われているが,従来の方法は普通前房穿開により房水を採取して,その中のF1の濃度を比色定量するというものであつた。この方法を人間の種々なる疾患に際して実施し,血液房水柵における毛細血管の透過性の状態を知ることは,ほとんど不可能であり,又動物実験においてさえ,前房穿開を行い,房水を採取して検査を実施する時はその後の次房水の成分は著しく変化する。ところが最近Amsler&Huber2)(1946)は細隙燈角膜顕微鏡検査により,ヒトの生体におけるF1の前再内移行量を時間的経過を追つて観察,測完する方法を考案,報告して以来,この方法を応用して種々の臨床的並びに基礎的実驗が行われる様になつた。
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