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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科9巻10号

1955年10月発行

文献概要

臨床実験

家兎角膜上皮剥離に対するサクロフィールの効果に就いて

著者: 藤永豊1

所属機関: 1鳥取大学医学部眼科学

ページ範囲:P.1197 - P.1199

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1.緒言
 葉緑素(クロロフイール)は最近創傷治療に新しい分野として,各方面から注目されている様である。葉緑素は植物の葉の中に含まれている緑色色素で,日光を吸收する事に依り,澱粉や糖類を合成する作用を有し,これにa,b 2型があつてa型はMgC55H72N4O5,b型はMgC55H70N4O6の分子式で,a,b両型が葉の中に存在する割合は略々一定で三対一である。葉緑素の中の油性分を鹸化して残つた水容性誘導体である水容性葉緑素をクロロフイリンMgC32H27N4Na3と云い,このものは毒性が極めて少く,抗菌作用,創傷治癒促進作用,その他に体臭,口臭を除く作用がある。しかし水容性葉緑素は日光光線に対して不安定で容易に変化し,治療効果を失うため,マグネシウムを銅で置換することによつて安定化したものをクロロフイリン・ナトリウム銅塩CuC32H27N4O5Na3と名づける。然も治療効果は全く水容性葉緑素と変りがなく,含有されている銅の量は,治療量ではその毒性は全く認められない。
 私はクロロフイリン・ナトリウム銅塩の製剤であるサクロフィール(以下「サ」と略す)の溶液及び軟膏を使用して,家兎角膜上皮剥雑の治癒に及ぼす影響を実験的に観察したので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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