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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科9巻11号

1955年11月発行

文献概要

私の経験

硬性白内障手術後の視力の良否

著者: 瀨戸糾1

所属機関: 1三楽病院

ページ範囲:P.1341 - P.1341

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 弁状摘出後の視力は角膜縁の切り口の状況が最も関係あるものと私は思う。本問題に就ては諸兄にも種々意見もあらんも,硬性白内障の手術では,角膜弁切開創が,左右両側の刺入点と刺出点とが対照的であるか,非対照的であるか,又それより上方に切り上ぐる切創が正しく一線に切れて居るか,或はぎざぎざに切れているかにあると思う。角膜切開弁創が対照的である為めには,先づ第一に刺入点と刺出点とが対照的である事が最も大切な重要な条件である。刺入点と刺出点とが不幸にも対照的にあらずとせんか,夫れより作らるゝ角膜弁切開創縁を左右に於て対照的に取り戻さんとして,線状刀の匁の方向を一寸変更するも及ばず必ず非対照的となるものである。第二には成書が教うるが如くして,角膜弁の切開は刀が往復或は往復半で完了す可きである。斯かる切創がより一線に近く切れているから視力もよく,往復を重ねる程視力は悪しかるべし。先輩中村辰之助博士は私の医局時代「老人性白内障も1.0の視力を得らるゝものである」と云われた事がある。眼球中の水晶体のみが病的である場合,此の水晶体を上手に摘出すれば,凸鏡装用で1.2〜1.5の視力を得ても不思議でない筈であるに思い付き,爾来私は硬性白内障の手術毎に上述の第一,第二の諸点に最大の注意を配りつゝ回を重ねる内に0.9〜1.2位の視力を得るものもあるに至れり。尤も硬性白内障手術後の視力を左右する条件には種々ある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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