文献詳細
文献概要
特集 第8回日本臨床眼科学会 原著〔一般講演〕
(5)診断を下し得なかつた一角膜疾患について
著者: 萩野鉚太郎1 西垣千代子1
所属機関: 1名大環研
ページ範囲:P.177 - P.182
文献購入ページに移動 前房に蓄膿を伴う角膜疾患は必ずしも稀ではない。匐行性角膜潰瘍をその代表的なものとして,之に角膜輪状膿瘍,角膜軟化,糸状菌性角膜炎等がつづくことは周知のことである。之等の各疾患は,その臨床的症状から,前房蓄膿性角膜炎として総括される疾患群である。然し一般には匐行性角膜潰瘍のみをHypopyon-Keratitisとして取扱つている場合が多く,Axenfeldの教科書に於けるこの章の担当者であるElschnig1)の様な広義の分類法をとる者は却て少い。その分類法の批判は暫くおくとして,上記各疾患はそれぞれ多少とも異つた臨床的症状を呈し,一応の鑑別診断は極めて困難と言う程のものとは言い難い。
最近経験した症例は,初診時の症状からすれば簡単に前房蓄膿性角膜炎と診断されるものであるが,その発現機序に伴う本態論的考察においては文献に見られる様な前房蓄膿性角膜炎の何れにも属しない様に思われるものである。然も以下述べる様にその経過中に合併したテノン氏嚢炎も亦文献中に見られるものとは趣を異にしたものである。
最近経験した症例は,初診時の症状からすれば簡単に前房蓄膿性角膜炎と診断されるものであるが,その発現機序に伴う本態論的考察においては文献に見られる様な前房蓄膿性角膜炎の何れにも属しない様に思われるものである。然も以下述べる様にその経過中に合併したテノン氏嚢炎も亦文献中に見られるものとは趣を異にしたものである。
掲載誌情報