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特集 第8回日本臨床眼科学会 原著〔一般講演〕
(30)白内障嚢内摘出と嚢外摘出との比較檢討
著者: 井上正澄
所属機関:
ページ範囲:P.266 - P.269
文献購入ページに移動 白内障嚢内摘出(以下では全摘出とする)と嚢外摘出とは何れの手術書にも並んで解説してあるけれども全く趣きの異つた手術である。著者は昭和27年春から外遊帰朝以来70余例の全摘出を行う事によつて此の二者は全く異つた手術であると言う感想を深くした。従来から行われて来た嚢外摘出は外眼部手術に比較すれば複雑な手術であるが後述のように全摘出は更にこの5倍位も高度の技術が要求とされるものである。嚢外摘出は水晶嚢を開いて核を摘出するのであるから水晶体の後嚢は眼内に残り,硝子体が脱出する危険は少い。水晶体の核を摘出してからアクリル酸レンズを嵌め込むリドレー氏手術は手術後の刺戟症状が強い事と,入れたレンズが脱臼し易い事のために限られた一部の手術家の間でのみ試みられている。著者も欧米旅行中に数例のリドレー氏手術を見学し,リドレー自身の行う天然色16ミリ映画を見た。更に手術後の症例も見る機会があつたけれど著者自身で試みようとは考えていない。
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